Again
6
しばらくそうしていると、落ち着いたのか、俺から少し距離をとった。
「…すいません。」
離れていく熱がなんだか惜しい気がした。
「いいって。俺、丁度明日休みだから、手がかり探しに行くか?」
そう言うと、お前はこくりと頷いた。
それから、レトルトのカレーを食べ、ソファで一緒にテレビを見ていると、肩に重みを感じ、至近距離で規則的な吐息が聞こえてきた。
「…仕方ねーな。」
お前の頭をサラサラと撫でると、軽い体を両手で抱え上げ、ゆっくりとベッドに運んだ。
しかし、俺がお前を置いて戻ろうとした時、お前に手を掴まれた。
まるで、戻らないで。離れないで。と言うように。
驚いて振り返っても、確かに寝ているお前。
それなのに、俺の手を離さそうとしなかった。
他に寝る場所も無いしなぁ。と周りを見回し、そのまま俺もベッドに入った。握られたままの手。
テレビも部屋の電気も消すことができずに、俺はその日、布団だけではない温もりに包まれて眠った。
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