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Again

「親に連絡しないとな。番号はわかるか?」

「…わからない。」

「そうか…。あ。そういえば、お前、名前は?」

「…わからない。」



その言葉の異常さに俺は髪を乾かす手を止めた。



「は?それは嘘だろ。…まさか、電話番号がわからないっていうのも、道に迷ったっていうのも嘘か?」



俺は眉をひそめ怪訝そうに聞いた。



「ちがうっ。…違うっ。」

「お前、家出して家に帰りたくないだけなんじゃないのか?」



まんまと泊まる家を見つけたと思ってるのかもしれない。俺はその時そう思った。



「本当にわからないだ。何も覚えてないんだよ。」



でも、お前は泣きそうになりながら、首を振って必死に伝えてきた。


その切実さは俺にもはっきりと伝わった。



「何も覚えてないって…、記憶喪失か?」

「そう…かもしれない。」



お前は肩を落として言った。


お前の所持品には携帯も財布も身分を示す物は何もなかった。



「いつから記憶がないんだ?」

「気づいたら、あの道路でうずくまってた。」

「そうか…、疑って悪かった。…怖かったな。」



俺はお前の頭を抱え込むように抱きしめ、背中を撫でた。



「…うっ。うぐっ…。んっ…。」



お前は俺のTシャツを握り締め、呻くように声を漏らした。





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