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Again

「……家もわからない。」

「んー。…なんだ。お前迷子か。」



どうしたら良いだろう、と頭を捻って考えていると、くしゃみが聞こえた。


「…くしゅん。」


そういえば、こいつ、薄着な上に雨に濡れていたんだ。ということを思い出した。


このままでは、本当に風邪を引いてしまう。とは言っても、家もわからないしな…。


「ああーもう、しかたねーな。お前、俺ん家来るか?」



俺は自分の頭を掻きながら、なるべく優しく尋ねた。


お前は驚いたように俺を見上げ、俺の目を見つめたまま、ためらいがちに頷いた。


それから家に着くまでの間、お前は俺の少し後ろを歩こうとして、俺はお前が濡れてしまわないように隣を歩こうとした。


二人の歩みはどんどんと遅くなり、俺は、このまま止まってしまうかと思ったよ。


それでも、どうにか立ち止まらずに俺のマンションに着くことができた。



「今、風呂沸かせてるから、体でも拭いて待ってろよ。」



俺はひとまずお前を靴のあふれる玄関に待たせ、乾いたタオルを手渡した。


風呂の温度を調節した後、玄関を覗くと、まだずぶ濡れのお前がタオルを持ったまま突っ立っていた。


足元には滴り落ちた雨水で水溜まりができていた。



「どうしたんだよ。そんなに風邪を引きたいのか?」



そう言っても、全く体を拭こうとしない。



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