Again
12
「いいよ。最初はできなくても良いって言っただろ?」
俺は頭を撫でながら、慰めるようにそう言った。
しかし、撫でていた頭がピクッと一瞬上下に揺れた。
それは、丁度その時、家の外でドンっと大きな音が数回鳴ったからだ。
「あ。そうか!!…真白、丁度良い。今日は外で食べよう。」
まだ状況が理解できず、不安そうなお前を連れて、俺は意気揚々と近所の神社に向かった。
そこには色とりどりの提灯や屋台。
子供連れの親子や友人同士の集団。
普段では想像できない程のたくさんの人で賑わっていた。
「ちっちゃい町の祭の割に、結構人がいるもんだなー。」
お前はその賑やかな光景に、目をパチパチとしばたかせていた。
「どうする?とりあえず、タコ焼きでも食べるか?」
俺の言葉に目を輝かせると、大きく頷いた。
俺がタコ焼きを買っている間にも、ふらふらとどこかに行ってしまいそうな程、興味津々で辺りを見回していた。
なんだか、それが可愛くて、熱心に見ているものがあれば、全て買い与えたくなった。
初めて自分の子供を祭に連れてきた親のような気持ちだった。
「もう、そろそろ帰るか。」
いつの間にか花火も終わり、人も疎らになっていた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!