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「こちらもどうぞっ」
「いえ、こちらもっ……!」
 出される食事、置かれる食事、全て口に運んでいく。豪快な姿に圧倒される者もいたが、批判する者は一人もいなかった。
 ほとんどの食事がネオよって無くなり、一息吐いたところでごちそうさまと、ネオは一言呟いた。久々の食事はとても豪華なものになった。周りはにこにこしている。
「お姉様! あなたはこの国の頂点に相応しいですわ!」
 誰かがそう、叫んだ瞬間。まわりもそうよ! と、叫ぶ。だが、ふとエースの事が記憶によみがえる。そういえば、あいつもまだ何も食べてないんだよなあ……と。
 ネオはいきなり立ち上がった。辺りはしんとする。
「帰らねえと」
「え?!」
 そう言って立ち去ろうとするネオに全員で止めに入る。全員ということもあり、迫力に負け、一歩下がってしまう。
 そんなネオに全員が下から覗き込むように見てきた。
「どこへ行くのですか?!」
「貴女はこの国の頂点に立つ者なのです!」
「そうですわっ!」
 そんな言葉にネオはやはり、決闘何て受けるんじゃなかったとか思いながら、首を振る。
「俺は仲間の元に帰らなきゃ何ねえんだ」
 そんなネオの言葉に辺りはしんと静まり、皆が皆、綺麗な顔を歪めた。何だか苛めているような気持ちに陥るネオだが、気持ちを切り替え、言葉を続ける。
「確かにさっきの決闘で俺が勝ったけど、この国の女王は……」
 その瞬間だった。爆発音と共に地面が揺れる。辺りは叫び声に包まれた。揺れが続くなか、ネオは全員が取り囲む扉とは反対の窓へ走り、状況を確認する。爆発音の方へと視線を移そうとしたが、腕が引かれ、揺れと共に転んだ。
「危険です!」
 腕を引いた女性が泣きそうな声で叫んだ。ネオは眉を潜める。

「一体何が行われてるんだよ……!」

 爆発音は止まらない。そんな時、勢いよく入ってきたのはレイだった。辺りはざわめく。揺れる地面に揺れることなく、ネオの前へと歩みを進めたレイは叫んだ。
「落ち着いて聞きなさい! 今、大砲を撃っているのは海軍よ!」
 そんなレイの言葉に辺りはどよめく。ネオは目を見開いた。

「狙っているのは黒髪に、紫色の瞳を持つ女よ!」
 その言葉にネオは確信した。海軍が探しているのは自分だ、と。レイは続ける。
「生かして連れていくつもり、でもその後どうなるかは私にも分からない。なら」
 レイは笑った。

「闘いましょう。新たな女王のために」

 その言葉にきっとここにいる全員がネオの容姿も当てはまっていることに気付いたのだろう。全ての者が拳を上げ、闘う意思を示した。
「あなたは逃げなさい」
「駄目だ! 俺も闘う!」
「ダメよ。国の女王を渡すわけにはいかないの」
 レイはあえて冷静にネオの言葉に答えた。ネオはだから……! と言葉を続けようとするが、踵を返したレイの後に続く女性たちね波に欠き消されてしまった。追いかけようとしたが、腕を引かれる。

「行ってはなりません」
 その言葉は残酷だった。







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