睨み合う二人にギャラリーが騒ぎだす。レイ様あ! という声や、お姉様あ! という声で賑わう。 闘技場のようなそこは、広いスペースで、あっちこっちに風化している跡があることから、かなり激しい戦いが行われていた事が分かる。 ネオはレイを見る。相変わらずなレイにため息を吐くが内心迷っていた。 もし、相手が悪魔の能力者だったら? 俺は勝てるのだろうか。自分も悪魔の能力を使えばいい。だが、今は女の姿。そんなことをしたら…… 「迷っているの? 迷いは貴女を殺すわよ」 また笑った。その顔は相変わらず…… 「ぶっさいくな笑顔を振り撒くんじゃねえよ、ブスが」 たいして大きな声を出したわけでは無かったが、レイの耳にはしっかり入っていたらしい。その顔を歪めた。どう見ても先ほどの高々としていたレイは居なくなる。 「何ですって? お前は殺す」 ドスの聞いた声に辺りが一瞬しんとする。それを破ったのはネオの笑い声だった。 「良いねえ……あんた、それじだろ?」 「黙りなさい! 始めるわよ」 ルールは簡単。気絶、または相手が参った、審判が無理だと判断した場合まで続ける。顔に傷を着けた場合、即失格。 「馬鹿な貴女にも分かる簡単なルールでしょ?」 「ああ、馬鹿な姫さんが考えたことなら猿でも分かるだろうよ」 火に油。 「貴女のような野蛮人に言われたくないですわね」 「ふん、世間知らずが」 「何よ」 「何だよ」 「ええ……では、初めても」 相変わらずの二人に審判が止めれば、二人は喋ることはなくなり、睨み合う。審判が合図をした。 その瞬間、レイの手にはナイフが握られ、斬りかかってきた。全てを綺麗に避け、追い込まれた瞬間、上に跳び、レイの後ろに回った。 だが、着地した瞬間を狙っていたようにナイフを投げつけてくる。避ける事はできず、踊り子の衣装の腕に着いていた宝石で弾き返す。だが、レイは既に懐に入り込んでいた。 「造作もないわ」 どこからか取り出したナイフで斬りかかる。後ろにばく転しながら避けるが、スカートが裂けた。 「口ほどにもないのね。弾き返したときはまさかと思ったけど……」 くすくすと笑うレイを他所にスカートに手をかける。話を全く聞いていないネオに気付き眉を潜める。 「話を聞いているの?!」 「全然」 裂けたスカートの端から破く。びりびりに破かれた長いスカートは短いスカートへと変わる。その端を、腰の横で結んだ。 レイの方を見ると、にんまりと笑う。まるで悪戯っ子のように。 「まあ、今のは準備運動?」 いっちにと、準備運動をするネオにレイは今までに無いくらい、顔を歪める。 「パーティーはこれからだ。レイお嬢様」 瞳は金色に輝く。 |