[携帯モード] [URL送信]




 顔を赤らめた女性は門番をしていた女性だ。目を泳がせながら、近づいてくるレイという女性に答えようと口をパクパクさせている。
「旅の者だと言うので……道案内、を」
 そう答えた女性にレイはふんわりと微笑み、頬に手を添える。目を合わせた女性は顔を真っ赤にし、ふらふらしている。
「そうでしたか。お優しいんですわね。お名前は?」
「ミ、ミリアンナと、申します。レイ様」
「そう。ミリアンナ。では一つ、命令を下します」
「何なりと」
 頬から手を離し、またふんわりと微笑んだレイは悪戯を思い付いた少女のよう。
「それでは……」
 そう言ってネオの方へと振り返ったレイは笑っていた。

「彼女を殺しなさい」

 そう、指を指されたのはネオだった。その瞬間、ミリアンナは顔を真っ青にする。同じくネオも顔を真っ青にせざるを得ない。
「レイ様……! しかし」
「あら、何なりと、と言ったわよね? もしかして、あれは嘘? 私に嘘をついたの?」
「そんな、滅相もございません!」
「なら」
「せめて、理由を!」
「理由?」

 そう言われたレイは、顔だけ向けていたミリアンナに体ごと向け、また近づく。
 また静かにふんわりと微笑む。

「輝く者は一人で十分でしょう?」

 そう言って笑った顔は悪魔のようだった。だが、そんな表情を見たのは門番の女性のみ。ネオは正直、どうでもいいから早く飯にありつきたかったりする。
「あの」
 そんなときに口を開いたのはネオだった。そんな声に全員が振り返る。
「お……私が邪魔なら帰るので、せめて食料を下さい」
 切実な願いだった。だが、その言葉にレイは鼻で笑う。下げずむような目に、ちょーっとピキっと来たのは内緒だ。

「逃げるのですか?」

 何だとこの野郎。

 内心、元に戻ってるが、笑顔は崩さず。周りの人たちはがやがやと騒いでいる。
 そんな周りにレイは一言、お黙り、と一喝した。辺りは一気にしんとなる。また、ネオの方に下げずむような笑顔を向ける。二人の間に火花が散った。
「分かりました。では、直々に私から決闘を申し込みましょう」
「レイ様!」
「しかしっ」
 叫んだのはレイの取り巻きらしき二人だ。レイは二人の方を見るとふんわりとまた、微笑んだ。辺りもざわざわするが、ネオにはこの状況が読めず、頭にはてなを浮かべる。
 決闘を受けたなら買う主義だが、エースとの約束を思い出し、ここはブレーキをかけた。
「いや、俺、急いでるから」
「あら、汚い言葉使い」

 ピキっ

「それに今のお言葉。俺とはまるで男のよう」

 ピキっピキっ

「私の決闘を尻尾巻いて逃げるだなんて。恥知らずも良いところ……」
「上等じゃねえか、その決闘受けてやる! 泣いて帰るんじゃねえぞ、箱入り馬鹿娘が!」
 そんなネオの言葉に辺りがしんと間が開いた後、批判が飛ぶ。レイもそんな言葉に眉を潜めた。
「それはこっちのセリフですわ」
「ふん、世間知らずのお嬢様に言われたくないね」

 売り言葉に買い言葉。
 エースの言葉は忘れられ、決闘が行なわれる。











第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!