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 中身を取り出したネオの手にはナミに無理矢理着させられられた踊り子の服があった。鼻を高くして、どうだ、とでもいうような顔で見せつけるネオとは反対に目を丸くし、はてなを浮かべるエース。
「それが?」
「あのなあ……分からないか? 俺はお・ん・な! ボディチェックだろうが何だろうがどんと来いってんだ」
 そう言って胸を叩いたネオとは反対に今度は眉を潜めたエース。だが、ネオはいきなり自分の着ていた服に手をかけた。そして、脱いだ。
「おまっ」
「何だよ、減るもんじゃないだろ」
「っ……!」
 下がって後ろを向いたエースは顔を耳まで真っ赤にしていた。ため息を吐きながら着替えを続けるネオ。着替えの仕方はあの後ナミに聞いたのだ。

「よしっ」
 そんな声に、エースは振り向かず確認する。ため息混じりに、大丈夫だってと、笑うネオに振り返る。
 そこにはあの時とは違う、ネオの姿があった。黒髪に踊り子の格好。そして、白い肌は変わらないが、少し目がぱっちりとして、少し変わっていた。いわゆる化粧というやつだ。
「……」
「いやあ、化粧何か少ししかしたことなかったけど、ナミが強制的に持たせてくれて助かったなあ。ビューラーとマスカラしか分からなかったが……って、エース?」
 ただ黙っているエースに、独り言をぶつぶつ言っていたネオが話しかければ我に帰ったのか、はっとしたような顔をした後に、ああ、と気の抜けた返事を返した。
 そんなエースに大きなため息を吐き、腰に手を当てる。

「ったく、話し聞いてるか? これならバレない。だから、行ってくるな」
「ああ……どこにだよ?!」
「はあ? 決まってんじゃん。さっきのとこにだよ」

 当然だと言うようにネオが返せば、エースはダメだと、一言だけ返す。
 今度はネオが大きく目を見開いた。
「何で?!」
「……あのなあ、お前がこっちで男装している理由を考えろ」
「う……でもでも、女人国だし、海軍がいるわけでは」
「馬鹿か、お前は。女人国だからだ。俺がいないとこでバレたらお前一人で対処出来るのか?」
「いや、でも」
「駄目だ」
「だけど、エース、腹減ってない?」

 そんなネオの一言にエースの眉はぴくりと動く。先ほどまで忘れていた空腹感が一気に戻ってくる。
 ネオはこれだと言うようにエースに近づき捲し立てる。
「俺、めちゃめちゃ腹減ったんだ。うまい肉とか、肉とか……食べたくない?」
 エースは何も言わない。俯き、肩は微かに震えている。ネオは悪魔の囁きを続ける。
「うまい肉に酒、それから、そうだなあ旨い海鮮とかも……」
「ああああああ! 分かった、分かったからやめろ!」
 限界だと言うように叫んだエースはお腹を鳴らすが、顔は引き締める。

「ただし、条件がある、いいな?」

 五日ぶりの飯はネオに託された。













あきゅろす。
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