「べーっくしょい!」 冬島、ドラム。上陸したのは二人の男。もとい、一人は女だが。 豪快にくしゃみをしたのは、もとい、女であるネオだ。鼻水をすする。 「オメーな、少しは女らしくしろって」 「あんねー女らしくすれば俺の首と身体はバラバラ何だぜ。そんなのごめんだね」 笑いながら言うネオにエースは溜め息を吐きながら、辺りを見回す。さすがは冬島。寒さは半端ない。 「とりあえず、着るもんだな」 「上半身裸で良く寒くねえな」 「だから買うんだよ、バカ野郎」 「……買うんじゃなくて貰い逃げだろ」 「そうとも言う」 身体を震わせながら店へと向かった。 珍しく雪は降らず、食堂の飯は食い切られる。 「ったく……情報はいつ手に入れっかな」 食べきった皿の山が横に並ぶ。そんなエースに溜め息を吐きつつ、最後の一口を含む。 ネオの目の前には一枚の皿しかない。 「ブラブラしながらで良いじゃん」 まあな、何て返しながら、また追加されたお代わりを口にする。一瞬で平らげるのはいつものこと。 「そこら辺の奴等に……ぐがああ」 「はあ」 眠りに着いたエースに溜め息を吐き、笑いながら席を立つ。店を出ようとすればお客さん、何て止めが入る。 その言葉に振り返り、にっこりと悪どい顔で笑う。笑いながら指を指したのはエースの方。 「お金はそこの寝てるお兄さんが」 そう言って、有無を言わせない笑顔を作り、店を後にする。 「さて、エースは食い逃げするだろうし。確か、この後何だったかな、ロベールだ。ロベールに来るエースに合流すれば良いか」 考えを巡らせ、至った考えからロベールに向かう。コートを深く着直し、エースが起きる前に、急いでロベールへ向かった。 「……ぶほっ!?」 ネオが店から出て約10分後。エースは目を覚ます。きょろきょろと辺りを見渡した。 「……ネオがいねえ! 食い逃げしやがった!」 がたっと、立ち上がると最後の一口を口に含み、店を出ていく。後ろから食い逃げだあ! という声に、走るスピードを上げ、店から離れていく。 「とりあえず、人に聞くか」 走りながらとりあえず、辺りを見渡す、後ろから追いかけられていない事を確認し、スピードを下げる。 人を見つけ、黒ひげについて聞こうと、近寄った。 「なあ、いきなりなんだが」 「ん?」 近寄った男はエースを見ると、驚きながらも答える。 「今おれは黒ひげって奴を追ってる。何か知らねえか?」 黒ひげという言葉に男たちは驚きと怒りを露にした。 「そいつはこの国を襲ったんだ……!」 「へえ、それで」 「とっくにこの国を去ったよ」 そう、溜め息混じりに言う男にエースは眉を潜めた。 |