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 今、海軍に告ぐ


 悪魔の実を無効化させる天使の実の力を持ちし者を探せ
 また、その者の名は……――
 黒髪で紫色の瞳を持つ女である
 天使の実の発動者は発動時、必ず瞳が金になるのが特徴である
 必ず我々の役に立つ
 その者は必ず生かして連れて来るように

 ――賞金は1億ベリーとする

















 雨が降る。今日は雨のうち晴れだと、どこかの番組のお天気お姉さんが言っていた。
 学校への登校中。傘をさして一人で向かっていれば、傘に雨が当たり、傘の中で反響する。雨の日は正直、傘をささないで帰る方が好きだ。音が雨の音以外、聞こえないから。

 ぴちゃぴちゃ、と後ろから足音が聞こえる。気にせずに歩いていれば名前を呼ばれた。
「司!」
 立ち止まって振り向けば膝に手を着き、息を整えている葵がいた。葵は、一応仲の良い親友? だと思う。
 顔を上げて睨んできた。傘をさしていなかったためか髪の毛はびしょびしょだ。
「何で置いていくんだよ、馬鹿!」
 隣に並んだ葵を傘に入れ、歩幅を合わせて歩いていく。
「遅刻しそうだってのにのんびり準備してるお前が悪い」
「女の子には色々あるの!」
「残念、俺も女だ」 
 一応、な、と付け加えれば葵はぶつぶつとは何か言っているが、反論はしなくなった。
 また静かになる。雨の音がまた傘に反響する。

「ねえ、司。大学、決まった?」
 葵が沈黙を破る。
 そう、18歳である二人は受験生であった。今日も、二人が通っている学校へ行く途中だったのだ。
 司はただ静かに首を横に振った。正直、大学に行く予定はなかった。行く必要がないと感じるからである。
 葵はただ静かにそっか、とだけ返した。



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