海の上。ゆらゆら揺れる波の流れを眺めながらネオは酔っていた。
「うえええ……」
「大丈夫かよ」
一度、メラメラの実の力を止め、ネオの背中を擦る。ネオに触れば悪魔の実は使えなくなってしまうので、仕方がないことだが、船は行き場を見失い、ふらふらと遭難しかけているのは言うまでもない。
相変わらず真っ青のネオに、溜め息を吐きつつも、背中を擦り続ける。かれこれ、チェインに食べさせてもらった一部は海の一部になりつつある。
「やっば……俺、船、そういえば乗ったことなかったわ……」
「のわりには、さっきまでは平気だったけどなあ」
そうなのだ。さきほどまでは。
「思い出したんだよ」
何が、と続けるエースに水を受け取り、口に含む。少し、落ち着きを取り戻した後、言葉を続ける。
「俺が乗り物、めっさ弱いってこと」
「……」
「次の島で酔い止め買っていい……うえ……」
島に着かないのはほぼ、ネオのせいなのだが、
エースは立ち上がり、悪魔の実を発動。フルスピードで、次の島に向かった。
あれから小一時間。島に着いた。ふらふらになりながら船から降りるネオに、溜め息を着きながら、支える。
「ったく……船が弱い海賊ってどうよ」
エースのため息に、唸るネオ。
「俺は海賊には、ならねえよ」
その言葉に、エースは目を見開く。
「とりあえず、どうしてえんだ?」
「酔い止め……速効性のある、やつ」
とりあえず、薬屋へ向かった。
「ああああー! 美味かった!」
酔い止めを飲んだ後、今までがまるで嘘のように良くなり、今まで出てしまった分、お腹が空いたのだろう。食堂! と、叫んだ。
エースは大きなため息を何度したか分からない。
「ったく……のわりには食わねえな」
どう見てもエースの量とは比べ物にはならないほど量が少ない。一皿分ぐらいだ。
「うん、まあ、俺、こう見えても少食なのよ」
けらけら笑いながら言うネオに半分呆れつつも安心する。
……がったーん!
「邪魔するぜ!」
蹴破られたドアと共に入って来たのは、どう見ても柄の悪そうな奴ら数名。手には刀や拳銃が握られている。辺りを見渡したのち、エースに目を止めた。
「やはり、火拳のエースがこの島に来ていたという噂は本当だったみたいだなあ」
「その首を貰おうか」
にやにやしている男どもは、戦闘の合図とでも言うように鞘を抜き、銃撃を始めた。
食堂はパニックになる。逃げまとう人々でごった返した。
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