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 ONE PIECE.
 漫画に詳しくない俺でも、それは知っていた。
 大海賊時代。ひとつなぎの大秘宝をめぐって、幾人者海賊達が旗を掲げる時代に生きる男達の話。
 主人公は確かルフィ。麦わら海賊団の船長だったはずだ。
 "悪魔の実"は聞いた事があったが"天使の実"何て、聞いた事が無い。奥が深い。
「"天使の実"は、誰も持っていない能力だ」
「俺がお試しってことか」
「いや? 食べた奴はたくさんいる。死んだがな」

 ……ずいぶんデンジャラスな実だな。

「"悪魔の実"から身を守るために生まれた実で、能力は未知数。だが、食べられる者の条件が厳しい」
「で、その条件に満たされなければ死ぬ。簡単だな。じゃあ、俺は死んでいないんだな」
「お前は頭が良いな」
 少年はまた、溜息を吐いた。
「ああ、相当なリスクを背負う。食べて痛みが引けば、お前は晴れて、"天使の実の能力者"だ」
「却下」

 話の途中で割り込み、溜息混じりに言った。

「痛い思いをしてまで生きたくないね、俺は死にたいんだ」
「葵が望んだことだ」

 あの、シアワセになれって言葉。やっぱり嘘じゃなかったのか。
 他の世界で、生きて、シアワセになって欲しいって、葵は思ってるのか。
 あいつは、まだ、笑っているだろうか。


「それに、死んでもいい命。賭けをしても問題はなかろう? あっちは海賊時代。こっちに比べたら退屈はしない。どうする?」

 葵。俺、本当は怖かったのかもしれねえ。生きること。幸せになる事が。
 なって、いいのかな。シアワセに。手に入れて良いのか。シアワセを。


「ああ、行ってやろうじゃねえか。大海賊時代に!」









あきゅろす。
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