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パワーストーン物語
J
そして山中はコーヒー一杯を一気に飲み干すと慌てたように帰って行った。
山中が帰ってからは、俺の気持ちはなんとなく落ち着かなかった。
高そうな宝石の飾りを俺にくれた彼女の想いにはいったいどんな意味があるのだろうか…。
本当に山中の言うように彼女は俺の事を好きだったりするんだろうか…。
いつもはすぐに寝られる俺だが今夜はマジで寝られそうにない…。
そんな事を考えながらも俺は自分に与えられた仕事を着々と終わらせていた。
いつもより長く感じられたバイトの時間はようやく終わりそうになった時、閉店間際になって、また突然山中が現れた!!!

「山中ー?」

「村田っ。兄貴のパワーストーンの本持って来てやったぜ!
兄貴はもう飽きて要らないから俺にくれるって言うし俺もこんなの興味ないし要らないからこの本はお前にやるよ!」

「ほんとか!?」

「あぁ。この本は写真入りだし、兄貴によると、この石にどんなパワーがあるかとかも詳しく書かれてるいい本らしいぜ!」

「有り難う山中!」

「あぁ!」

それからの俺は慌てて自宅に帰ると親父にサンドイッチとケーキの残りを渡して山中に貰った本を必死に眺め始めた。

「そうだっ!喜多川さんに貰った置物をここに飾ってみるか!」

俺はお袋がまだ生きてた時代からあった小さいタンスの上にその宝石の飾りを置いてみるのだった。
すると、気のせいか部屋の空気は突然いい感じに変わったように俺には感じられた。
素敵だ!凄く素敵と言うしかないっ!
やっぱりキレイな物を家に置くのはここがいくらボロ家でも凄く気持ちがいい事だった。
俺は緑の石のページをめくりながらこの石が載っているページを探していた。
しかし見ているとこの山中から貰った本は、なかなか楽しい本だと思った。
ページをめくる度何だか気持ちがわくわくしてくる。
赤や黄色や緑の石がまるで子供の頃に集めたビー玉のようにキレイに光っててこの本は本当に楽しめるいい本だと思った!

「あっ、あった!これだぁ!!えっとこの石の名前は…マラカイトって言うのか。ふむふむ。
日本では孔雀石って呼ばれてるのかぁ。そういやぁ孔雀の羽の色にちょっと似てるかなぁ…。
それでえーっとこの石のパワーは…なんだって!?弱気を克服!?
俺みたいな奴にぴったりじゃないか!それで…何ぃ!?健康を害する事柄やイジメや中傷から身を守ってくれるってか!?
なかなかいい石じゃん!それからえーと…ストーカーに困ってる人にもいいのか。
俺には心配ないけど喜多川さんみたいな美人には必要かもなぁ……。」


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あきゅろす。
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