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パワーストーン物語
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「き、き、喜多川さん…きょ、きょ、今日はそっ、そのぉ…ど、どうしたんですか?」

「ここで村田君がアルバイトしてるって柳原先生から聞いて今日は私、村田君に会いに来たの!」

「ぼ、ぼ、僕にぃ!?またなんでですか…!?」

「えー?だって同じクラスの人がこんな素敵なとこでバイトしてるって聞いたのに会いに来ちゃいけないの?
それに村田君ってば、私達同い年なのに敬語はダメだってぇ!」

「はっ、はいっ!!」

「またぁー! あのねっ実は村田君に今日はクリスマスのプレゼントを渡そうと思って持って来たの♪」

「ぼっ、僕に!?なんでまた僕のような汚い男にプレゼントなんて……」

「えっ!?それはそのぉ……。でももうキレイになったじゃない!
倒れた時は本当に心配したんだからね!も、もう大丈夫?」

「う、うん…。あの時最初に喜多川さんが助けてくれたって山中から聞いてたんだけど、そのぉ…僕のせいで服汚れなかった?
今頃になってから言うなんてそのぉ…御免……」

「あぁいいのよ!あの時は山中君が保健室に走って行って柳原先生を呼んで来てくれたから私は結局何もしてないし……」

「そ、それでも有り難う!実はあの時僕は喜多川さんの僕を励ます声を聞いたんだ。その声は凄くキレイで優しくてまるで天使の声みたいだった。
だから僕は今凄く元気!そ、それから凄く幸せ!」

「それ本当!?」

「う、うん」

「思い切って声かけといて良かったよ♪」

「うっ、うん♪」

「ケ、ケーキは食べる?ここのは凄く美味しいよぉ!」

「うんっ♪♪♪」

そして銀の高そうなリボンがついた緑色の包みを俺にくれると「また来るね♪」と言って風のように去って行った。
その時間は俺にとって本当に夢のような幸せなひとときだった!
女子と話すのも初めて。女子からクリスマスプレゼントを貰うなんてのも初めてで俺の心はうきうきと弾んだ!
俺はニヤニヤしながらまた奥へと引っ込んで仕事を始めると、さっき帰った筈の山中がまたやって来て俺の事を手招きする。
でも理解のある店長は俺を全く叱らなかった。
叱るどころかコーヒーを注文する山中に気付くとすぐに「村田く〜ん、こっちに来なさいよ!山中君来てくれてるわよ!」と呼んでくれる優しさ溢れるいい店長さんだった。
店長は心なしかふくよかなその姿と優しい所が柳原先生にちょっと似てて俺には凄く親近感が持てる女性だった。
山中が戻って来た理由はハナから分かっている。
あいつは喜多川さんとどんな話をしたのかを聞きたがっている。
そして案の定俺が行くなりその事を質問して来るのだった。



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