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パワーストーン物語
B
買い物途中の若いお嬢さんにイノシシのように体当たりをかましてしまったのである。
その相手とは、なんとあの百合ちゃん!!!?
私は驚いて倒れた百合ちゃんを引っ張り起こし、この図太い百合ちゃんに謝らせたのである。
ところが百合ちゃんは怒るどころか、いつもの笑顔を私達に向けてくれているではないか!!?
もうこうなったら仕方がない。
私は百合ちゃんにおそるおそる母同伴でお茶に誘ってみたのだが、母がいてもまったく気にする様子も見せず、嬉しそうに私達について来てくれたのである。
しかも百合ちゃんは、うちの母親と話す時は会社にいる時の何倍も楽しそうによく笑うのである。
さらに私にはしてくれないような話を母と話し始めた。
百合ちゃんにはお母さんはおらず、口数の少ない父と二人っきりで何十年も寂しい毎日を送っていた事。
自分の名前は亡くなったお母さん・百合絵さんから貰った事。
今どころか、ず〜っと昔から彼氏らしき人が出来た経験もなかった事。
彼女の人なつこさは寂しさから来ていた事・・・。
そしてこんな母・百合子のど厚かましさを今日程有り難く思えた事はないくらいに私にとってもナイスな発言が母の口から飛び出したのである!!
「寂しかったらいつでもうちに遊びに来てちょ〜だい!うちは自慢じゃないけどいつも賑やかよ〜」
それからの毎日は楽しかった。
日曜になる度に百合ちゃんが我が家に来てくれるようになったからである。
会社でも百合ちゃんは私には特別やさしく振る舞ってくれ、男子社員のジェラシーを毎日のように感じた。
そんなある日、百合ちゃんの左手薬指には母の誕生石と同じトルコ石の指輪が光っていた。


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あきゅろす。
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