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パワーストーン物語
B
「可哀相に…。可哀相に…」と言いながら…。

「あぁ…俺、また食いもん屋でバイトしてぇー!!
…でも行列が出来る店は駄目だ。客が残さないから…」

それから少し時が流れた。
俺がバイトに出られなくなってからと言うもの、俺んちは益々貧乏になって行って朝が食べられない俺はいつもフラフラしながら背中を丸めて学校に通っていた。
昼は少食の山中の弁当を少し貰って飢えを凌いでいる始末だった。
そんな時、俺を奈落に落とす、最悪の事件が起きてしまった!!
クラスの女子達が風呂に入れねぇ俺から物凄い異臭がすると言い始めてしまったからだ!!

「村田君臭いー!!」

俺はどんどんクラスの嫌われ者になって行った。
隣りと後ろの女子が消臭リキを机の上に嫌味ったらしく置いている。
教室のコンセントには誰が持って来たのか消臭プラグがささってて、それを指差しながら山中がいつも「小さいけ〜れ〜どぉ、部〜屋1面消臭、消臭プ〜ラグぅ♪」としつこく歌う。
どうやら友達と思ってた山中にまで軽くイジメられてるらしい…。
情けなかった。
あまりの情けなさに思わず涙が出そうになったけど我慢してじっとその中傷に耐えたが、その手のイジメはヒドくなる一方だった。
たまに嫌がらせに机の中に食べかけのパンや底の方に小さく割れて数枚残ったポテトチップスの袋が入ってたりもしたが、みんなが見ている前でわざと平気なフりをして食べてやるとクラス全員に引き潮のようにドン引きされてしまった。

「まるで俺って餓えた獣だ…。
いや、もしかしたらそれ以下かもなぁ…」

もう何もかもが辛くて心底生きてるのが嫌になった。
そしてついにある寒い日の自習中の教室で俺は物凄く気持ち悪くなって机の側の床に倒れ込んでしまった!!

「あぁ…目が回る…。気持ちわりぃ……」

突然の出来事に教室全体がざわめくのが耳に届く。
そのざわめきの中で誰かが小さく「大丈夫…?」と声をかけ、俺を励ましてくれた気がした。
その声はとても優しくてまるで天使が囁きかけてくれてるみたいに俺には聞こえて来た。
必死にその声に向かって「大丈夫じゃないよぉー!!」と訴えようとしたが、意識が朦朧としてしまって頭の中の言葉は声にならない。

「俺はこのままかっこわるくみんなが見てる前で餓え死にしちまうのかなぁ…」

床の冷たさが身体の奥まで浸透して行く。


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