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パワーストーン物語
A
お袋は当時病弱だった俺に手がかかり外にパートにも出られなかった。
その事にイライラした親父はお袋に「お前のような奴とは離婚してやる!」とず〜っと言ってたそうだ。
そんなこんなで家計は益々苦しくなり、親父はある日、酒代欲しさに日雇いの仕事に出た。その仕事中親父は飲酒運転をやってビルの壁に突っ込んで、それから足が今みたいに不自由になっちまったそうだ。
その後の人生は最悪で離婚するつもりでイジメて来たお袋に面倒を見て貰わないと生きられない身体になっちまった。
それからはお袋が働きに出るしかなくなり、まだ小さな俺は親父が見るようになってお袋だけが外にパートに出て一生懸命家計を支えたみたいだった。
そんな苦労が祟ったのかお袋は俺が小5の夏にあっけなく死んじまった…。
だからその後は足の悪い親父が自分で働いて稼ぐしかなくなってしまって、今に至っている…。でも俺は噂のお笑いコンビ、麒麟の田村よりはず〜っとマシだ!と思っている。
田村は中学の頃に、親父からも見捨てられたとクラスのお笑い好きの山中が言っていた…と言っても俺は田村がどんな奴かを知らない。
誰にもこんな事は恥ずかしくて言えないが、俺の家には昔からテレビがなかった。
田村どころか山中が近頃よくやる「そんなの関係ねぇ」の本物バージョンすら実は見た事がなかった。
よくよく考えたら俺は世の中の流行り物の殆どを知らなかった。
カッコわりぃからいつも知ったかぶりをしてみるが、必ず笑われてるところをみると、やっぱり知らないのがみんなにはバレてしまってるのだろう…。
でも普通なら高校に行かずに働いて親父を少しでも楽にさせてやらなきゃならなかったのに、親父は全財産を注ぎ込んで知人に多額の借金もして俺をこの高校へと行かせてくれた!
この事だけは何を置いても感謝しなけりゃいけない。
例え家にクリスマスやサンタが永遠に来なかったとしても…。
ところで俺は今はバイトさえやってなかった。
うちの高校がまた悪い事にバイトが禁止で見つかると退学になるって噂で表だって働く事が出来なかったのだ!
中学の頃は朝の新聞配達をやって土日にはラーメン屋でバイトをして食事代を浮かせて来た。
客の残した麺が伸びて冷めたラーメンを美味しそうに食べてる俺を見て、店の奥さんがよく泣いてたっけ…。


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