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パワーストーン物語
H
「はっ、はい!今は2階で寝てますが、もう1度来られる頃までには必ず呼んでおきます!」

そしてミレンツェは礼儀正しく2人に軽く会釈してからまた気の良さそうに、にっこり微笑むとどんな用件でローズに会いに来たのかも告げずに1度帰ってしまいました。
それからは、慌てた両親はけたたましく2階の階段を駆け上がって行って静かに寝ていたローズを叩き起こすと猛スピードで夕食を終えて再びやって来るミレンツェをもてなす準備を始めました。
ローズは家にいきなりミレンツェがやって来たと両親から聞かされ、急に胸を高鳴らせながらミレンツェに食べて貰う為の軽食の準備をし、父は慶び事にしか決して飲もうとしない高級ワインを倉庫の奥からか引っ張り出し、母はいつもの地味なテーブルクロスを徐に外すと滅多に使わないお客様用の薔薇の刺繍の入ったエレガントなテーブルクロスを敷いて、わくわくしながら村の人気者の今再びの到着を待ち詫びました。
いつもならまるで家の中に娘がいるとは思えないくらい殺風景なリビングなのに、今日ばかりはこのリビングも驚く程華やいで見えました!
するとついに待ちに待った村の人気者、ミレンツェがもう1度家にやって来たのです!
彼のこの突然の訪問に、ローズは心の中で「きっと今日のクマの事件の事で私にお礼を言う為に来て下さったんだわ!」と予測していましたが、ローズから森での出来事を何も聞かされていなかった両親は、娘に気がある男の人がとうとう我が家にやって来たのだ!と勘違いしていました。
それも好感度NO.1のミレンツェをついさっき間近で見た両親は何処かいつもの様子とは違っていて何だかちょっぴり浮かれていました。
そしてやって来たミレンツェをイスに座らせると自分達も真向かいのイスに並んで座り、勝手に楽しそうに話を始めてしまいました!
キッチンにいたローズはその様子にぎょっとしてエプロン姿のままミレンツェの前に飛び出して行くと、ご丁寧にも両親はイスをミレンツェの隣だけ空けてあり、殆ど会話も交わした事がない2人が並んで座るしかなくなり、その事で、両親が大きく勘違いをしている事にローズはハッと気付きました!

「まさかパパもママも私とミレンツェが付き合ってると思ってるんじゃあ!?
今からミレンツェがその事を2人に報告しにやって来たと思ったんじゃないでしょうね…!?」

そんなローズの心配は当っていました。
ミレンツェとは大人になってからは時折軽く挨拶を交わしたくらいの関係で、付き合うどころか側に近寄った事さえないのにこれは非常に困った状況です!


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あきゅろす。
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