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パワーストーン物語
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私はごく平凡なサラリ−マンで、35歳を少し過ぎたと言うのにまだ結婚はおろか彼女さえいない始末である。
すでに四十代を過ぎた姉が独りおり、結婚して静かになったのも束の間、超スピ−ド離婚して再び実家に出戻って来てしまった。
両親に期待をかけられていただけに、この落胆はいか程のものかこの私にさえも見当がつくが、その両親の大期待のほこ先が今度は私に移行してしまった事がいささか迷惑な気もする。
特に母親の大期待は最近だんだんエスカレ−トするようで、うんざりしてしまう。
なぜ、姉はあんなに早く帰って来てしまったのだろうか!!?
元、夫は姉にはもったいないぐらいのエリ−トの高給取りだったではないか!!?
ぼやいても仕方がないが、最近は私の愚痴も増えつつあった。
そんな時だった。
我が社にも新入社員がやって来る季節となり、女子社員も何人か私の部署に配属された。
どの娘もなかなかの美人で、つい私の鼻の下も伸びていたが、頭もキレて何でもてきぱきとこなす彼女達の瞳に私のような四十前のおっさんが映っていよう筈もない・・・
何しろ我が会社の中でもうちの部署ときたらジャニ−ズ系と言われる若きイケメン達がそろいも揃っていたからだ。
でも、そんな中にもただ一人だけ、どんな年齢の人にもわけ隔てなく接してくれる謙虚な女性がいた。
彼女の入れるお茶やコ−ヒ−は真心がこもっているとみえて不思議と旨かった。
みんなは彼女の事を百合ちゃんと呼ぶようになっていた。
他の女子社員は皆、名字でしか呼ばれていないのにだ。
社内に咲いた一輪のゆりの花のように、彼女が会社に来ているだけで場の雰囲気が明らかに華やぎ、去年とはぜんぜん違って感じられた。
私が浮かれていたのも原因の一つではあるが・・。


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