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パワーストーン物語
E
それに実は両親には内緒ですがそんな世間のイメージだけではなくて、ローズは実際何度もこの森の中で最近何度か小さな小熊には出くわした経験があったのです!
そんな時は自慢の脚で走って逃げ去るか、近くの木に登って木の実でも採りながらクマが居なくなるのを待つか、またある時は、木の枝を折って投げ付けて小熊を追い払った経験もありました。
いつもこんな調子でいては、誰もローズをお嫁に貰ってくれる筈もなくて、例えあのビリーが料理上手なローズを結婚相手の候補の中に入れてくれていたとしても、その事実を知れば「勘弁してくれよぉ〜!」と言われてしまって終わりかも知れませんし、誰もがこの後に起こった物凄い奇蹟の出来事を俄かには信じられませんでした!
それはある日ローズがいつものように森の木に登り、木の実を籠いっぱいに集めていた時の事でした。少し離れた方向から男の弱々しい悲鳴のようなものが聞こえて来たのでした。
その声にとっさに誰かがクマに襲われていると思ったローズはすぐ側の木の枝をへし折った物を握りしめると慌てて木から下りて行ってその声のした方へと駆け付けて行きました。
するとそこには、な・な・なんとローズがこれまでこの森では見た事もないような、大きなクマが凶暴そうな鳴き声を挙げ、両手を広げるような格好で、こちら向きに立っている姿が見えて来ました!
鋭く伸びた爪と真っ黒な身体は今にもこちらに向かって迫って来そうな勢いです!
ローズはそのあまりの大きさのクマに、多少驚きはしましたが、怯えてその場にうずくまり、死んだふりをしているのかブルブル震えながら倒れている悲鳴の主を何とか助けてあげなければ!と思い、とっさに大声を上げて威嚇しながらそばにある石を片っ端から投げ付けてクマに向かって走って行きました。
幾つかの小石がクマの足下に転がってその事に怒ったクマは、ローズの方にギロリと視線を変えて、まっしぐらにローズ目掛けてやって来ようとしました。
その時です!!
ローズが素早く折って準備していた木の枝の鋭い先の部分がクマの口の中にズボッと入ったのです!

「ぐえっ!!」

枝が口の中に少し刺さったのか、それを嫌がったクマは少しだけ怯んだ様子を見せました。


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あきゅろす。
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