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パワーストーン物語
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なにせ自分みたいな見た目も性格も男みたいなのを、みんなが見ている前で軽々と抱き上げたのです!
ローズの体格は当時もすでにがっちりしており、その頃でも子供の中で1番体重も重かったものですからまさかそんな風にこんな自分を持ち上げてくれる男性が存在するなんて思いも寄らなかったのです。
今ではすっかり年頃になったローズも近頃は妙にあの頃の逞しいビリーを思い出し、気が付けば迂闊にも色黒の自分とも同じ色黒同士できっと私達はお似合いに違いないわ!な〜んて事までうっかり考えそうになってしまったりと、有り得ない妄想を心の中で浮かべては我に返り、虚しい気分を繰り返してしまっている自分を情けなく思うのでした…。
子供の頃、ビリーは確か自分とは正反対の色白で、可愛いタイプの女の子が好きだと言う噂が流れてその時にはそれはもうがっかりしたものでしたが、今は自分の結婚相手には、見た目の可愛さなんかよりは美味しい料理を毎日作って食べさせてくれるような家事の上手な家庭的な女性を求めていると言う噂を聞いて、ローズは切ない乙女心を一気に舞い上がらせたりもしました。
意外にもローズは家の中では料理もお掃除も苦手な母に代わり、家事全般を上手にこなせる料理の得意な娘でした。
中でも近くの森に行き、自ら採って来る新鮮な食材で作るキノコのスープや、自分で釣って来た魚のムニエル。
山菜入りのシチューにワイルドストロベリーのジャムを付けて食べるスコーンは両親や隣人達が唸る程、超絶品でした!
幼い頃から野性的感覚の発達したローズは山菜や木の実や川で泳ぐ魚を村の誰よりも多く見つけて来る事にも長けており、たった独りでもその日食べたい食材を見つけに日暮れの薄暗い森の中へさえ、平気で入って行ってしまって時折両親を酷く心配させるな〜んて事もしばしばありました。
ローズが庭とする森には最近小さなクマが出没するとの恐ろしい噂もありましたが「ローズならもしクマと遭遇してもクマを投げ飛ばすんじゃないかしら」とか、「クマの方がローズを怖がって逃げて行くんじゃないかしら」とか、「ローズの方が大きくてクマよりずっと強そうだわ!」とか、家族以外の人達のローズのイメージはいつもこんな風でした。
確かにローズはそこら辺の男性よりは、きっと強い事でしょう…。


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