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パワーストーン物語
B
母はそれだけを言い終えると弾むように階段を下りて行き、ハミングしながらあっけにとられてポカ〜ンとするローズの部屋から去って行ってしまいました。
それからローズは何度も母から指輪の事を聞き出そうとしたけれど「詳しい事は何も聞かないで自分で答えを見つけなさい♪」と指輪についてのエピソードは一切教えてはくれませんでした。
ローズはそれからしばらくは自分の太い指と男勝りな性格には全く似合わないその指輪を人差し指にはめたままいつも不思議な気分で自分の物になったその指輪を眺めていました。
母は昔から父に貰った結婚指輪でさえはめない人なのに、自分にいきなりこんな可愛い指輪をくれたのです。
果たしてこの指輪が若い頃の母が自分で買った物なのか、それとも遥か昔の父からプレゼントだったのか、それさえもさっぱり教えてくれなかったのです。
けれどローズの心はこの頃密かに初めて女の子らしい物を身に着けられた喜びでいっぱいになっていました。
どんなにおてんばで、男勝りな性格でもローズだってその心の内はしっかり女なのです!
それからは、友達や村人達があまりに似合ってないと言わんばかりの目でローズの指輪を見ていても、そんなつまらない悪口や陰口にも負けじとガンとしていつもその大切な指輪をはめ続けていました。
指輪どころか装飾の類いを1度も身に着けた所を見た事がない、あの飾り気のない母でさえこんな可愛らしい色の指輪を身に着けていた時代があったのだから、例えこんな雄々しい自分だってこのまま着けていても構わない筈だわ!な〜んて事を思いながら…。
それに母の話では自分の今の悩みに1番利くと言うのだから今のこの苦しみが少しでも解消されるまでこの指輪を外す訳には行かないわ!
そんな気持ちで何を言われようがめげずにその指輪が自分の身体の一部になるくらい、ずっとお風呂に入る時以外はローズはこの指輪をはめ続けました。
ところでそれからのローズにはどんな変化があったのでしょうか…?
あの悩みとやらは無事に解決出来たのでしょうか…?
それをこれから少しづつお話して行きましょう。


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