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パワーストーン物語
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「まるで夢のようだわ!」

彼女はとても幸せそうな表情を浮かべながら思わずうっとりと自分の指に咲いた薔薇色を見つめていました。
幼い頃から自分の家の庭先で、ず〜っと目にして来た深く美しい色の薔薇の花を面前で見つめながら…。この物語の主人公は若い女性。その名をローズと申します。
家族や親しい友人の間ではロージーとも呼ばれています。
そんな彼女は自分に付けられたその名前の事をあまり快くは思っていませんでした。
何故なら晴れた日の清々しい朝であろうと、素敵な夢が見られてとてもいい気分で目覚めた朝だろうと、関係なく毎朝鏡で見る自分の姿や顔は「この私にROSE(薔薇)のように美しい名前で呼ばれる資格があるの!?」と思わず叫びたくなってしまうくらい、お世辞にも綺麗だとは言えないくらいのお粗末な容姿だったのです…。
美しい薔薇の花とはまるで掛け離れた所にいる自分にはこの名前は過ぎた響きで滑稽だと他人からは笑われてしまうくらいに似合わない雰囲気を醸し出していました…。
そう…。彼女はこれまでの人生をず〜っと、自分のこの可愛くないルックスに全く自信が持てないでいたのです!
おまけにローズが住む小さな村では、今、その事に大きく関わったとても深刻な問題が持ち上がりつつあったのです!
その事は、以前から自分の姿に自信のなかったローズにとって、ひょっとしたら村の誰よりも1番こんな情けない姿の自分が被害を被るかも知れない。
そんな予感さえしていて、その事が自分にだんだん迫りつつある恐怖を日々感じながらそれでもこの村からいつか出ようと言う気にはどうしてもなれずに、殆ど諦めたような状態で暮らして行くしかない日々を送っていました。

「私はもう駄目だわ…。
他の娘は皆美しいから心配ないけど、私なんて最初から3人の候補の内にも入ってなくてそのうち独りぼっちで寂しくこの村を離れなくちゃならない日がやって来るんだわ…」

ローズはだんだん悲しくなって来る自分の気持ちを押さえては家族や友人に対しては、務めて元気なふりをして暮らしていました。
そうでもしていないと、こんな小さな村の中では平然と生きては、いられなかったのです…。
そしてある時とうとうそんな自分にとっては死活問題な事件の勃発で微妙な年頃を迎えたローズは今日も独り、2階の自分の部屋でその事について深く悩んでいました。
すると…いつもならあまり自分の方から昔の話をしたがらない母が珍しくローズの部屋までやって来たのです。


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