[携帯モード] [URL送信]

パワーストーン物語
D
そして添えてあった手紙にはこう記されていました。
「ミリアへ
戦地に向かう途中にこれを見つけた。
これを持つと幸せを得て守られるそうだ。
ケビー」
…なんて愛想のない手紙なのでしょう...
この手紙には「キミを愛しています..」とか、「キミに早く会いたい...」とか「この贈り物を愛するキミに捧げます」といった類の言葉は一切記されてはいませんでしたが、ミリアはこれ程までに深い愛を感じられる心の篭った手紙を一度たりとも受け取った事はありませんでした。
ラブレターは沢山貰ったけれど、「キミのその美しい姿に僕は魅了されました..」といった類の文章に心を動かされた経験はなく、この夫からのふいに届いたラブレターにミリアの心は踊りました。
ボブとビルにはミリアがこの愛想のない文章のどこにそんなにミリアを喜ばせた秘密があるのかが分かりません。
すると、「子供には分からない愛の言葉が記されてあるのよ!」と言われ、毎日手紙を逆さまから読んでみたりといろいろと試すのですがやっぱりいっこうに理解出来ません。
でも、あの日の幸運はそれだけではなかったのです。
なんとミリアは妊娠していたのです!!
実はミリアの身体はとても弱くて、過去の苦しい経験により女性としての機能はかなり低下しており、自分は妊娠は難しいのではないのかとずっと悩みを抱えていました。
なのに結婚してすぐなのに、ちゃんと妊娠する事が出来たのです!!
これこそがムーンストーンがミリアに齎した奇跡でした。
ビルとボブはミリアにオレンジを沢山買って来てくれました。
ケビーがいない間は二人が一生懸命尽くしてくれ、ミリアのお腹はどんどん大きくなりました。
それに毎日よく食べるので気がつけば体重は倍になっていました。
その結果、あれだけ群がっていた街のほとんどの男性がミリアに見向きもしなくなったのです。
そして本当に心が綺麗でミリアの悪口をまったく言わなかったごく少数の街の人と仲良くなる事が出来たのでした。


[前へ][次へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!