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パワーストーン物語
B
けれどケビーは器用である事を活かし、戦争に使う武器類の管理職についたばかりでそう簡単に仕事をやめる事も出来ずにミリアの必死の願いも聞かずに戦地へと独り旅立ってしまいました。
ケビーの話ではすぐに帰ってこられるという事でした。
ミリアはなるだけ外には出ず、人目に触れぬように買い物をする時はいっぺんに済ませ、早足で自宅に帰り鍵もかけました。
窓の外ではまだ子供のような少年が二人ミリアの家の中を双眼鏡で覗こうとしていたり、おなかの出た中年男達が交替でやって来てはミリアの家のドアベルを鳴らしたりノックしたりでこれにはうんざりしていました。
その中に混じってミリアに荷物を届ける配達人の男がやって来ました。
ミリアが荷物を受け取る隙を狙い部屋の中に上がり込むと、喉が渇いたなどと言いお茶の催促までされてしまうのでした。
そしてチャンス!とばかりに、背後からミリアに突然襲いかかって来たのです!!
もう絶対絶命です!
ドレスは剥ぎ取られ、力の弱いミリアには逃げられそうもありません!
恐ろしさに声も出せません。
その時です!
突然、部屋のガラス窓が割れる音と「大変だー!この家に強盗がいるぞー!女のドレスを盗んだぞー!」と外から大きな声が聞こえて来ました。
あわてた配達人の男はズボンもはかずにまぬけな恰好で一目散に逃げ出して行きました。
その男と入れ替えに今度は二人の少年がやって来てミリアの裸を見ると「うわぁ〜お〜!」と喜んでいます。
ミリアはまたもや身の危険を感じ、身体を必死に隠して泣いていると少年の一人がミリアのクローゼットから勝手に着替えのイエローのドレスを持って来てくれました。
二人の顔には見覚えがありました。
いつも家をのぞいているあの少年達です。
「ミリアのこのドレス姿が僕達が一番好きなのさ!ミリアの事ならなんだって知っているよ!」
そういえば迷わずこのドレスをすぐに持って来る事が出来たのも、いつも双眼鏡で着替えをこっそり覗いていたからに違いありません。
脅えるミリアに二人の少年はやさしく接してくれ、割れた窓ガラスを掃除してから出て行くと新しいガラスを持ってまたやって来ました。


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