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パワーストーン物語
B
「でも、なぜ私の名前を?それにいくらなんでも知らない人からこんな高価な物貰えないし結構です!!」
そう言って包みを返そうとするが凄い力で押し返されてしまった。
「あの時バイトの兄ちゃんが『尚美ちゃん』って呼んでたからさ!まぁ、これ見てラスボス倒すんだな!じゃあ、頑張れよ!尚美ちゃん!」
そう言い残して帰って行った男はかなり慣れ慣れしく喋ってきて尚美を少し不快な気分にさせたが、店の人にはないしょでその男からのプレゼントは頂いてしまう事にした。
貧乏学生の尚美にとってほしい物がタダで手に入ってしまう程ラッキーな事はなかった。
アパートに帰り、管理人さんから実家から届いた荷物やらを受け取り、貰った攻略本を隈なくチェックしてみる。
「なんだ!ここはこの装備にして、武器はこれで強化して、このモンスターは炎系に弱いから魔法は炎系にすればよかったのか!なるほどね..ふむふむ...」しかし、ゲーム機がないのだからせっかく攻略方法がわかってもこの方法を試してみる手だてがない。
イライラしつつも頭の中でシュミレートしてみる。
すると、なんとなくではあるが勝てる確信のようなものがふつふつと湧いて来た。
「あぁー、せっかく攻略本貰ったのに残念...」
仕方なく、母から来た小包を開けてみたがいつものようにじゃがいもだのタマネギだので特に珍しい物は入っていそうにない。
その時、じゃがいもの下にひときわ目立つ白い包みが膨らんでいるのを発見した。
「仕送りだ!!他にも何か入ってるー!」
尚美はわくわくしながら中身を確認してみると、中から指輪の入ったケースとばあちゃんからの手紙が出てきた。
年頃の娘なんだからこんなのもつけてみたらどうか?みたいな内容の手紙だった。
ばあちゃんは山梨県の甲府に住んでいてワインをよく送ってくれたが、たまに近所の有名な宝石店で買ったアクセサリーもくれる。
「またか...」
尚美は赤やピンクの服を昔から着てこなかった。
クローゼットを開けてみれば似たような無難な黒、紺、グレーの服のオンパレードで、実は宝石やアクセサリーなどの装飾品にはほとんど興味がなかった。
ばあちゃんはダイヤやルビーの指輪もくれたが、それも実は一度たりともはめた事がなかった。
まるっきりばあちゃん孝行の反対でばあちゃん不孝な孫だった。


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