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パワーストーン物語
A
ある日、私はつい口が滑り、彼女にこんな事を言ってしまった。
「僕の母も百合子と言うんだ!もしキミと僕が結婚したら母とキミは同姓同名になるなぁハハハハハ!」
冗談のつもりだった。
彼女はいつものように笑ってくれると思っていた。
ところが彼女はほほえむどころか顔を引きつらせながら
「部長はまだ独身なんですか?」と聞き返して来たのだ!!
うかつだった。



オヤジギャグより質が悪い、ひょっとしたら今の発言はセクハラではなかったか!!?
私はこんな調子だからいつまでたっても結婚出来ないのだろうか・・・。 
私は今までに経験がないぐらいにヒドく落ち込んでいた。
明日から百合ちゃんに顔を合わせづらいなぁ・・・。
私はとぼとぼと家路に着いた。
ひょっとしたら社内で変な噂になってたりするのかもなぁ・・・。
明日は日曜で会社は休みだからその間に上手い言い訳でも考えようっと・・・。
私がこんな些細な事でもの凄く悩んでいるとも知らずに、母の百合子は私が食事をしている横で山積みとなった見合い写真を見せてくる。
でも私もだてに三十数年も生きて来た訳ではない!!
やはり大きな理想を持っている!!
私の妻になる女性も百合ちゃんのように謙虚でかれんで可愛くなくてはいけないのだ!!!
私は百合ちゃんのとびっきりの笑顔を思い出したが、ついでに今日の失態を思い出してしまいがっくりと肩を落とした。
「百合ちゃん・・・」
自分では小さくつぶやいたつもりが、横でとっくにしおれた母が
「な〜に、謙ちゃん?」と笑い返してくれたが百合ちゃんのそれとは比べものにならなかった。
「ところで謙ちゃん!明日はお母さんデパートにお買い物に行きたいんだけど、結構荷物が重くて大変だからまたいっしょについて来て貰えな〜い?」
「はいはい、分かりました、どこへでも参りますよ」
私は案外親孝行な息子である事をこれをお読みの皆様に少しお伝えしておきましょう。
さてデパートの中は野球の優勝セールの為、もの凄い賑わいとなっていたが、うちのたくましい百合ちゃんときたら誰にも負けない気迫と根性?でお買い得な商品をどんどんゲットして突き進み、私の両手はあっという間にいっぱいになってしまった。
もうそろそろ私が持てる荷物も限界に差し掛かった頃、母はとんでもない事をしでかしてしまった。


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あきゅろす。
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