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パワーストーン物語
E
ミリアはたちまち弱々しく床に倒れ込んでしまい、驚くアークに輪をかけてとんでもない事が起こりました!
「がぶり!ぱらぱらぱら・・・」
床に散らばる無数の黒ぶち模様の丸玉が沢山、あちらこちらにあっという間に転がって行くとあっけにとられたこの出来事をどうする事も出来ずにアークはそのまま車で月夜の森の中へと消えてしまいました。
残されたミリアが散らばったままの丸玉を拾い集めていると、尾を下げて申し訳なさそうにミリアを上目づかいするラッキーもその丸い玉を鼻先で集め、ミリアを手伝いました。
そのあまりにしょげこんだ姿にミリアはやさしく頭を撫でてやるのですが、それでもラッキーの気持ちは納まりはしません・・。だって・・・大好きな人に初めて牙をむいてしまったのだから・・・
ラッキーはミリアを守ろうとしてとっさにアークの手首にいつもつけられていたダルメシアンジャスパーのブレスレットをかぶりとくわえ、がるるる!と思いっきり引っ張ったのです。
二人が争う姿などどうしても見たくなくて、止めようとしての行動だったのですが・・。
本来ラッキーは凶暴な犬ではありません。
飼い主の命令には絶対に逆らわない忠実で賢い犬なのです。
ラッキー自身、自分がアークが大切にしていたブレスレットを壊してしまうなんて事は思いもよらなかったのですが、これはたまたま起こってしまったハプニングだったのです。
それでもラッキーの心は罪悪感でいっぱいになり、戻らないアークを思い、えさも食べずに遠くのアークがいるであろう森の方角をじっと見つめていました。
ミリアはすべて拾い集めたダルメシアンジャスパーの丸玉を一粒一粒心を込めて通すとまた元のブレスレットへと作り直しました。
昔、母がアークの為にしたようにアークが幸せになれるようにと願いを込めて・・・。
アークは子供の頃によく遊んだ森の湖のほとりの秘密の場所で、独り、まだミリアが小さかった頃の事を思い出していました。


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あきゅろす。
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