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パワーストーン物語
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るりは大学生だったが可愛い子供服を扱うブティックで販売のバイトをしていた。
田舎から出て来たばっかりのるりは、主都市からは少し離れた通学にはかなり不便な場所に築15年のボロアパートを借りて寂しく暮らしていたが、貧乏学生だからバイトでほしい物をゲットする為のお金を作るしか道はなかった。
アパートの近くにはわりのいいバイトもなく、大学のそばのいつも忙しそうなブティックの貼り紙に目を止め、授業のない日は2時間近くかけて通勤し、バイトに入っていた。 るりは男まさりの性格で見た目もいまいち…通学途中でもしょっちゅう「ちょっと、にいちゃん!これ安いけど買わない?」だの ヒドイ時には「おじさん、ここに行きたいんだけどこの道であってるかな?」なんて聞かれてしまう事も日常茶飯事だった。
そんな可哀想なるりがなぜあんなりっぱなブティックにバイトとはいえ雇われたのか?それには悲しい理由があった。 
そこは人気の高級ブランド子供服を扱っており、売り手がしっかりしていようがなかろうが商品が置いてあるだけで毎日々飛ぶように売れるお店だった。
正社員の休暇も有給休暇も休憩時間も毎日のように削られていて、突然体調を崩し
てもめったな事では休めず、トイレに行っている間には商品が根こそぎ悪い奴等に万引きまでされる始末だった。 
今までにもここではバイトを何人も雇ったのだが、あまりの過酷な労働に長期で続いてくれる物好きなどほとんどいなかったのである。
るりは不幸にして(!?)昔っから子供が大好きで、田舎ではいつも子供達を集めていっしょに野球をしたり野山を駆け回ったりしていつも泥まみれで、自分の服装の事なんて考えた事もかまった事もなかったが、体力だけがとりえの女と言ってもいいぐらいだったら雇われてしまったのだ!!
だが会社の人達は当然のごとく服装にはすこぶるうるさかった。
その会社では子供服以外にも沢山のエレガントな婦人服を扱っていたからである。
るりがその素敵なブティックに雇われた本当の理由とは、田舎者特有の素直な気性と根性をかわれただけなのであった。
男っ気もなさそうで日曜日も祝日もがら空きのスケジュールだから、猫の手も借りたいブティックにとってはもってこいの人材だったのだ! 更に会社にはるりを女らしく改造する自信もあった。
その為のえさも密かに用意されていた!!
るりをやめさせないとっておきのえさが・・・
るりがバイトに入るお店のサポート社員はすべてイケメンの独身男を派遣したのだ!
るりが働きだしてからは会社で一番のルックスの男性新入社員を研修期間と偽りいっしょに働かせた。
大事な人手を簡単にやめさせてなるものかと会社側も必死なのである!ブティックの女性店長が直々にるりのルックス改造を担当し、あれこれかまっていく。
結果、るりはどうにかこうにか普通クラスの女に見えるようになって行き二度と男に間違われるという事もなくなった。 
そしてついにるりは間もなく人生で初めての恋に落ちてしまったのである!!
遅すぎる初恋だった。
そのお相手はいつもいっしょにそばで働く野田君!
彼のやさしさと初めて女として見て貰える嬉しさが重なり、るりはすっかり彼の虜になってしまったのである。
野田君には超美人の都会的彼女がいる事も知らずに・・・。
そんなある日、いつものように閉店後店長の元にるりが行くと店長が青い石のネックレスをくれた。 
なんとその日はるりの誕生日だったのだ!!
本人さえすっかり忘れていたのだが店長は履歴書と初めて面接で話した日から今までの間ずっとるりのすべてをチェックしているのだから忘れる筈もなかった。


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