パワーストーン物語 A 今から十数年前、アークはミリアの父の元で建築デザイナーになる為の修行をミリアの屋敷に住み込みでしていました。 ミリアの父は有名な建築家でしたが気難しい人柄であったせいか弟子を取った事もなければアシスタントを雇う事もめったにありませんでした。 それなのにまだ若い身よりのないアークを住み込ませた事は、今思えばすべて未来の災いを察知しての行動だったのかもしれないとアークはいつも思うのでした。 ある日、まだミリアが小さかった頃に助手席にミリアを乗せて出かけた両親は、ミリアの母の誕生日に母の大好きなディズニー映画101にも登場するダルメシアンの仔犬を買いにと出かけて行きました。 無事に仔犬を求めると小さなミリアはバスケットに入った仔犬を抱えて早く自宅に帰り、庭で遊ぶ事を楽しみにしていたのでした。 ところがその時です!!突然の悲劇がこの幸せな家族を襲いました。 「ドーーーン!!!」 もの凄い衝撃音がアークの耳にも飛び込んで来ました。 アークが思わず外に飛び出して行くと、真っ赤な見覚えのある車が大きなトラックと正面衝突をして車がぺしゃんこに大破しています。 「ロジャーさん!!エリーナさん!!!ミリアちゃん!!!」 アークが駆けつけるとミリアは仔犬の入ったバスケットを抱いていた為に奇跡的にどこも怪我がなく助かり、中の仔犬も無事でした。 けれど救急車ですぐに運ばれたミリアの両親は全身を強打し、とても危険な状態でした。 ミリアの両親は同じ施設出身で他に身よりもなく、もし二人に何かあればまだ幼いミリアは確実に昔の両親のように施設に引き取られなければならなくなります。 アークは心の中で少しだけ焦りを感じていましたが二人が助かってくれるものと信じていたのです。 ところがロジャーの様態が急変し、まもなく息をひきとってしました。 「アー・・ク・・ミリアを・・・」 それがロジャーの最後の言葉でした。 「ロジャーさん!?そんなぁ!!俺はこれからどうすれば・・・!!?ロジャーさん!!!」 その場に立ち尽くしたまま、まだ幼いミリアを思うとやりきれない気持ちになり涙が溢れて止まらなくなっていると、足元のミリアはなんでアークが泣いているのかも分からなくてアークの頬の涙を一生懸命拭っていました。 [前へ][次へ] [戻る] |