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パワーストーン物語
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春まだ浅くうら暖かいある晴れた日の縁側で、丸くなって眠るミケ猫を膝におじいちゃんとおばあちゃんが何やら楽しそうに話していました。
どうやら息子夫婦はすでに嫁いだ孫の所に行った様子で、今、家にいるのはこの年老いた夫婦だけの様子です。
老夫婦とは言っても足腰はさほど弱ってはおらず、最近まで孫の為におばあちゃんは毎日若い娘向きの料理を作り、自分もいっしょになって、から揚げや中華料理やカレーを好んで食べていました。
おじいちゃんは掃除と日曜大工が趣味の人であくせくと動き回り、ご近所の犬のゴンタの為にりっぱな犬小屋を作ってあげたり、よその家の庭の草むしりまでやってあげられる程に元気はつらつとしています。
そんな二人だからか、ついに曾孫の顔まで見る程に長く生きてしまいました。
孫の萌ちゃんの嫁ぎ先は遠くてめったに会えなくなり、一番がっかりしているのは息子の洋一でした。
あまりに「萌ちゃん、萌ちゃん」と毎日うるさいので、二人は「わしとばあさんできちんと留守番しておるから、萌の所に行ってくればいいさ!こう毎日、未練たらしく『萌〜、萌〜』言われたんじゃ、わしらとて落ち着いた気分ではおれんからな!」
「でも、年寄り二人を置いて出掛けるなんて、何かありでもしたらどうするんだ!!?」
「何かって、そんなに心配なら隣に一声かけて行ったらいいだろうに?わしもたまにはばあさんと二人っきりでのんびりと食事でもしながらゆっくり話したい事もあるんだ..頼むからたまには親孝行だと思って自由にさせちゃーくれんか?」
「親父ー、おふくろー、俺達のいない間に勝手にあの世にだけは行くなよ!」
「うるさい!そんな事わかっとるわい!!」
そんなやりとりを何も言わずにお互い目で相槌をうちながら聞いているおばあちゃんとお母さんは、そんな何でもない日常のやりとりの中に小さな幸せを感じていました。
そんな訳で家は珍しく静かで、おじいちゃんはようやく二人っきりになった縁側である相談を待ってましたとばかりにおばあちゃんに持ち掛けるのでした。
「二人でもう一度新婚旅行とやらをやらんかー?あの頃は世間が騒がしくて満足に旅行にも行けんかったろう?わしはもう一度、萌がまだ小さかった頃に泊まった熱海の旅館のあの景色の綺麗な部屋に、今度は二人っきりで泊まりたいと思おとるがばあさんはどう思う?」


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あきゅろす。
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