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パワーストーン物語
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ローラは活発でおてんばな女の子で、自分は男の子に生まれて来るべきだったといつも思っていました。
実際、周囲の男の子達はまるで頼りにならなくて、危険な事や嫌な事は全部ローラにやらせておけば大丈夫だね!とさえ思っています。
けれどローラとて万能ではありません。
「いつか私よりもずっと優秀でやさしくて頼れる友達がほしい…それが男の子でも女の子でも構わない…神様どうか私に素敵な友達を下さい…皆、私ばかりを頼りにして自分からは何もやろうとはしてくれない…そんな毎日にもううんざりなんです…」
しかし、ローラの切実な願いも神様に届く事はありませんでした。
なぜならローラにも悪い所があった事にまだ自分で気付いてはいなかったからなのです。
ローラにはどうしても言えない言葉がありました。
「私にはこんな事は出来ません…」
そう…嫌な事をやらされそうになっても嫌だと言いだせなかったのです。
それどころか心にもない言葉までがつい口から出てしまいます。
「任せといて!私にかかればこんなの簡単な事よ!困った時はいつでも言ってね!私が全部やってあげるから!」
よくもまぁあれだけ調子のいい言葉が次から次へと出てくるものね…
自分で自分の事を呆れてしまう程の状態でした。
そんなある日の事、近所に住むエリックから突然呼び出されました。
「今日は何をやらされるんだろう…」
不安になる気持ちを押さえながら言われた場所に向かうと、この辺りでは見掛けない女の子がこの近辺で一番大きく立派な木の下でぽろぽろと涙をこぼして泣いているではありませんか…!!?
「どうして泣いているの?」
ローラはいつものぶっきらぼうな口調はやめ、ありったけの優しさを込めて女の子にそう問い掛けましたが、その娘はひたすら泣き続けるばかりで理由も話してはくれません。
ふと、なんとなく女の子の姿を見たローラは「あぁ…こんな風に辛い時に泣いてしまうのが普通の可愛い女の子なんだなぁ…綺麗なくり色の巻き毛に長いまつげがくりんと自然にカールした美しい瞳…ピンク色のフリルのドレスが似合う女の子…この娘はどこからどう見ても女の子なのだ…」
近所のマイケルやエリックがはりきって助けてあげたくなるようなこのキュートなルックスの女の子とこの性別を捨てた、わざと兄のダニエルのズボンばかり好んではいている自分の姿を見比べているうちに、自分が次第に情けなくなってくるのが分かり、泣きたい気持ちになるのだけれど涙は一滴たりとも零れ落ちはしなかったのでした。


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