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パワーストーン物語
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「美しい」という事は罪になるのでしょうか...!?
ミリアはこの街一番の美貌を持ち主、しかし、当の本人はこの街に住んでいる男達がミリアとの一夜を共にしたいなどと競っている事も知らずに、つい先日、婚姻を結んだばかりの夫ケビーを戦地へと送り出しました。
独りで夫の帰りを待つ女の姿は美しく、醜く太った我が姿のことをまるで分かっていない男達の標的となりました。
それでもミリアは必死に自分の身体を守っていました。
夫以外の男に身体を許す事などとんでもないと思っていたからです。
やさしいふりをして男達はいろんな汚い手を使いミリアに迫って来ます。
それ程までに街の男達を夢中にさせる魅力がミリアにはありました。
自分の夫が皆こぞってミリアの姿に夢中なのを知った街の女達はミリアに嫉妬し、「誰とでも簡単に一夜を共にするふしだらで淫乱な女」だとでたらめなうわさを流しました。
もう街のどこに行こうともミリアのその噂を知らぬ人はいない程、街中で騒ぎ立てるものですから、ミリアは夫のケビーがいない間、家の中で独りで寂しく過ごす事がほとんどでした。
食料を買い求めるのでさえもやっとの思いでした。
どこにいても注目を浴びてしまうのです。
ミリアの人生は昔からずっとこんな風でした。
同性の友達も少なかったのです。
やっと友達になれたかと思うと、その友達の好きな男性や恋人や時には父親までがミリアに恋心を抱いてしまい、すべてが一瞬で壊れてしまいました。
ミリアの心に一番深い傷を追わせたある出来事がありました。
やっと気持ちの分かりあえた友達の父親がミリアに乱暴を働いてしまったのです。
ミリアはまだ16歳でした。
それ以上に辛かったのは友達がミリアに向かい言った言葉でした。
「私の父をその美貌で誘惑したのでしょう!?貴女みたいな最低の女は、生きているだけでこの世の迷惑よ!」
この言葉がどれ程深くミリアの心を傷つけたのかは、きっとこの世の誰にも分からなかったでしょう。
ミリアは幾度となく死のうとするのですが、神様はミリアに生きる道を選ばせようとなさったのか死ぬ事さえも許されませんでした。それでもミリアはここではない場所に行こうとしました。
その場所が一生独りぼっちでいなければならなかったとしても、他人の目のない場所へと行ってしまいたかったのです。


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