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パワーストーン物語
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公子と梢は両親の温かい愛に包まれて毎日を楽しく仲良く暮らしていました。
ぱっちり眼(まなこ)ではっきりした日本人離れした顔立ちが妹の公子で、姉の梢(こずえ)はまったくの日本人顔で目は細くてハニワ系の顔をしていました。
でもすらりと延びた足が自慢で、スタイルでは妹の公子を少しだけ上回っています。
けれどどちらも特別器量良しという訳でもなく、どんぐりの背比べです。 
それぞれ性格もかなり違うけれど二人は周囲も認める仲の良い姉妹でした。 
公子より3歳年上の梢は長女らしくしっかりしていて面倒見のよい性格で、少し年の離れた3人の弟達からも尊敬されていましたが、その妹の公子の方はというと弟達に尊敬をされるというよりはまるで同レベル視されているといった感じで、厳しかった母親に叱られる時等はちゃっかりと姉の後ろに隠れて逃げおおせたりもしていたり・・・。
そんな梢や公子達の父親は日本が戦争中も戦争にかりだされたりしない仕事についていました。
なんでも戦争に必要な道具類を作っているとかで梢も公子も大好きな父とずっといっしょにいられる事が出来て友達や知人の家族に比べると随分と恵まれた環境にありました。 
なぜならその時代に父親や息子が家にいる家庭はほとんどなかったからです。
皆、「赤紙」におびえながら暮らしていました。
赤紙とはお国の為に戦争に行け!との呼び出し状の事で、招集令状ともいいます。
それが来たなら男は家族があろうがなかろうが命がけでお国の為に戦地に繰り出し敵国の戦士達と戦わねばならないのです。
それは当時の男性にとってはほこりでもありましたが、命を落とすかもしれないのですから心の底では辛いことだったに違いありません。 
女達もまた大黒柱の夫や恋さえも未経験なうぶな息子達を戦地へと送り出し、男不在の家を守り抜きひたすら無事に帰るようにと祈り、けなげに待っているのでした。 
そんな苦しみや悲しみがない梢や公子や弟達は他の人達に多少の後ろめたさは感じていたものの、どれ程に幸せであったか、家族の誰かを戦争にかり出された人々の悲しみや苦しみは戦争経験のない私達には決して分からない事だったのでしょう・・・。
そんな幸せな梢と公子達でしたが突然の不幸がその幸せな家族を襲いました。
戦争はやがて終わり、人々は戦後の荒れ果てた土地を必死にならして、もう二度とあんな過ちを犯さないようにと誓い永遠の平和に向けての復興を進めて行きました。
とは言っても梢達家族はまだ随分と恵まれており、当時は珍しかったチョコレートやキャラメル等のお菓子類にバナナ等の果物や缶詰をいつでもおなかいっぱいに食べられる環境にありました。


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あきゅろす。
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