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APH/novel
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ぱたり、ぱたた…。


イギリスの白い頬の上に雫が落ちる。これを見たものは誰しもが一瞬、イギリスが涙を流したように見えるだろう。
でも、違う。

涙を流したのは……フランスの方だった。


きゅ、と握りしめる手を強くして、汚してしまった綺麗な頬をもう片方の手で綺麗に拭いてやる。


…こんなに、美しく眠っていたって目覚めることのない眠り姫なんて、悲しすぎる。



イギリスの上に覆い被さるようにして、その額に口を付ける。

起きない。


今度は、頬に。
…起きない。



「……イギリス……」



そのシャープな顎に手を添えて、ゆっくりと口付けをする。
唇は、…冷たかった。



「……起きないんだ…。」



その時になって、初めてフランスはイギリスの死を実感したのだった。


「……っ…ぅ、…!!……うっ……!!っ…畜、生…!…起きろよイギリス…!……お前……っ…!お前こんな!こんな…ッ…」



愛おし過ぎるだろ。


その言葉が伝わることすらないことをやっと理解したフランスの涙腺は、留まることを知らなかった。



フランスは、ベッドから立ち上がるとベッドと対面する形で美しく、膝立ちをする。すっとイギリスの手を取って、低い小さな声で。




「……お休み、可愛い可愛い眠り姫様。…愛しているよ、俺も。」



壊れたポットのように止まる事を知らない涙を流しながら。



……騎士は姫の手の甲に口付けを残した……。







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