APH/novel
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「がはっ……!!」
「フランスッッ!!」
フランスの体がふわりと宙に浮く。低空ではあったが、叩きつけられる衝撃は決して小さくはなかった。
「いい!お前は良いから動けるんなら逃げろ!出来ないんなら出来ないで頼むから大人しくしててくれよッ!」
前にふらふらの体で踊り出ようとするイギリスを声で制す。
だが、イギリスは動けない。立つのも難しい彼は少し離れた場所で足を崩して佇んで見ていることしかできなかった。
でも、このままではフランスが危ない。現に食べられる段階までは行っていない物の、何度も叩きつけられてフランスの体は傷だらけのぼろぼろだった。
イギリスはというと、化け物から与えられた傷はなく必死にパラパラと本のページを捲っていた。
(このままじゃ…!このままじゃフランスが…!フランスが死んじまう!)
今の僅かな魔力で出来る魔法は無いのか。非力な自分でも魔法が使える。何でもいい。何でもいいから魔法を。何でもいいから。
ただそのはやる気持ちを押さえることもできずに本の中身を素早く確認していく。
……あの後。あの不気味な足音はイギリスをおぶっていたフランス逹を背後から襲い掛かってきた。
その衝撃でイギリスはフランスの背から落ち、転倒したが逆にそれが良かった。転倒した勢いが強かったために化け物から遠ざかることが出来たからだ。
だが、フランスはそうは行かない。イギリスが逃げられない以上は自分が背負うしかない。
ならばこいつを倒していくしか方法はなかった。
………だが、勝てない。
「ぐ…っ、うぅ……!」
「フランスッ!!!」
今にも折れそうな頼りないレイピアで化け物の重たい右腕を支える。
がくがくと震える腕は今にも崩れそうで、身体中は悲鳴を上げていた。
(…っ…!!フランス…!フランス!!フランスが!!)
普段強がりで見栄っ張りなイギリスの目に涙が滲む。助けたくて仕方ないのに助けられないなんて辛いことは無かった。
「っ、あ、ぁぁあ!!」
フランスの苦悶の声が上がる。
あの化け物の重い腕を支えきることなんて敵うわけがない。支えようとしている体からミシミシと悲鳴が上がるのはイギリスにも伝わってくる。
イギリスはその声を引き金に、とある一枚のページを開いたのだった。
(……どうなったって、構わない。)
イギリスは可愛らしい星の形のスティックを空中に翳した。
そして、呪文を唱える。
「…して……されよ……!!」
か細いその声にフランスがはっとなったようにしてイギリスに振り替えるが、イギリスは構わない。
「いっ…イギリス!そんなんで魔法使うな…!」
「…遥かなる時空より力を貸せ…!……止まれッッ!!」
閃光が走り、化け物の体がまるで写真のようにぴたりと止まる。
だが、イギリスはそれでよしとしなかった。どうせ止められるのはほんの二秒。その間に咄嗟にフランスが押し潰されないように動いたのを見て安堵しながら次の呪文に取り掛かっていた。
近付いて止めさせようとするフランスも気にも止めずに。
禁断の呪文を。
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