APH/novel
V
雨がざあざあと音を立てて激しく降り続いている。
あれからと言うもの、なんとかして魔法を…せめてあいつらが見れるくらいには戻らなければと書斎に篭って原因を探っていた。
(…けど、何も見当たらねぇ。考えられんのは魔力の低下なんだろうけど何で低下したのかもわかんねぇなら治しようも……)
不安に苛まれてぎゅっとシャツの裾を掴む。
こんな思いをしたのも久し振りだった。
いつもだったら、隣にはあいつが居てくれている。
あいつが居てくれてたらきっと……。
そんな無い物ねだりを胸の内で呟くのももう何度目だろうか。
生まれた時から一緒に居たと言っても過言ではない妖精達にも会えない。
会う方法も解らない。
そして……。
(なんでこんな時に限って喧嘩なんかしたんだ…)
偶然と言えば聞こえだけはいい。
(いや……逆だよな、なんでこんな時に魔法が…)
妖精さんと話すことは愚か目にすることだって出来ないのに、フランシスと喧嘩をしてしまったことに対する孤独感を埋める相手も、寂しさを誤魔化すための手段も、アーサーは持ち合わせていなかった。
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