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APH/novel
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「おっおい、大丈夫か!?顔色わりーぞ」
「あ……。」


突然膝が折れたフランスの腕を、咄嗟にプロイセンが掴んで引き留める。

いつの間にか思い詰める内に意識が遠ざかってしまっていたのだろうか。
フランスは自分では気がついて居なかったが、真っ青な顔をしてふらりと体を揺れさせていた。心ここにあらず、といった体で。

それを見ていたドイツが一瞬目を伏せる。そのままイギリスと、その近くで泣き崩れている日本に一度視点を合わせてからフランスに振り返った。


「…俺達は外で待っているから、フランスは暫くここに居ろ。」
「……えっ?」
「気にするな、今回ばかりは時間制限も無く許してやるからイギリスと話をすれば良い。」

これはドイツなりの気遣い。しかし、いいのか。自分の他にも我を失って泣き続ける日本とアメリカ、そしてカナダの方が居ることを思えば、そちらへと一瞬だけ、目を向けてしまった。

「愛の国は大切にしていた奴に周りの目を気にして別れの言葉すら言わんのか」

そこでドイツがぴしゃりと言葉が放つ。


「…ドイツ…。」
「あーもう!!フランス兄ちゃんカッコ悪い!」

イタリアが話の腰を折ってフランスのことを指差して叫ぶ。
余りに大きな声に反応してか泣いていた三人まで振り替えった。

「…だからこそ…だからこそフランス兄ちゃんがここでカッコ付けるべきだと思うんだ。日本もアメリカもカナダも、イギリスにとっての一番を望んでるでしょ!」

ここにいる全員は囃し立てたりしないものの、フランスとイギリスが小さい頃からの腐れ縁で、恋人でもあることを知っていた。細かいことを知らない者だって居たが、今までのイギリスとフランスの行動から読み取ってくれていた。



「俺は賛成だ。イタリア、よく言ってくれた。」
「僕も勿論構わないよ。イギリス君もその方が嬉しいんじゃないかなぁ。」
「…あへんのこともお前の事も腹立つあるが今回ばっかりは多目に見てやるある」
「俺様も構わねーよ!大丈夫だって廊下で待っていてあいつらが来たら俺様が全力を尽くしてやっからよー!ケセセセ!」
「…イギリスさん、…喜ぶよ…。…僕は…大丈夫だから…行ってきてください……。」

そこに居る皆がイタリアの言葉に続く。実際にイギリス本人が聞いていたら、どんなにその親切を受けとるのが悪いと感じて突っぱねるだろうか。最後だから、というのもあって。
言葉を俺に受け取らせては問答無用で部屋から出ていってしまう。



「フランス」
「…アメリカ。」

泣いたばかりのぐしゃぐしゃのだらしない顔つきのまま、アメリカがフランスの側まで歩いてくる。


「…俺からも、お願いするよ。イギリスは文句言いながらも君の事決して本当に嫌いだった訳じゃないってのも解るんだ。…フランス、最後に…最後にイギリスにご褒美くらいあげてやってよ!」
「そうですよ。」

「!、日本…お前……」


いつのまにか、まだ部屋から出ていなかったイタリアに連れられるような形で日本が自分の側まで来た。
相変わらずの痛々しい姿だったが、にっこりといつもの穏やかな微笑みを見せてくれているのが妙に、暖かい。


「私達の役目はイギリスさんの味方、仲間になって差し上げる事です…。…でも、フランスさん。貴方の役目は…イギリスさんを護る事でしょう。」
「…でも、それは…」

「そして、頑張ったイギリスさんを存分に甘やかして、褒めて、頭を撫でることが出来るのは、あなただけなんですよ?」



そうにっこりと笑みを浮かべてから、日本はイタリアに廊下に連れて行って貰う様な形で廊下へと歩き出す。アメリカもそれに着いていった。


(…イギリス……。…俺は……。)


どうして。


そう頭の中に四文字の言葉が浮かんだ瞬間に滲み出る物が隠せなかった。




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