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ヒトリ季節企画
沖田総悟
3月14日。ホワイトデー。

去年のお返しはって、去年はまだ総悟とつきあってなかった。

今年からはずっと一緒に居れたらいいけど。






"いいですぜィ。屯所まで来てくだせェ"

1ヶ月前と同じセリフ。

行かなきゃ会えないのなら、行くしかなくて。

ほらまた先月と同じ列が見えてきた。

あれ?でも…

総悟がいるわけじゃないみたい。

「来やしたねィ」

「わっ」

背後に立っていた総悟に驚いて思わず後ずさって足を踏んでしまった。

「ご、ごめんなさい」

「美砂のせいで靴汚れちまったぜ。舐めなせェ」

「はい?」

「舐めて綺麗にしろってんだ」

…何言ってんの?このドエスが。

腹黒い笑顔をまともに見た私は引きつり笑いで小声で話す。

「こんな人前でそういうのやめてよ」

「あ?何が嫌なんでィ。ほら舐めろよー」

総悟は冗談のつもりかもしれない。

でもなんかこういうの、凄く嫌。

「あー…えと、私帰るね」

「帰る?」

表情が変わった。

「うん。総悟忙しそうだし、また連絡する」

「…待ちなせィ」

立ち去ろうとした私の腕を掴んだ総悟の顔が怖くて。

「なんで、総悟が怒るの?」

「こんな日に帰るたァ、浮気してんだろィ?」

突拍子のないことを言われ、不快で眉間に皺が寄った。

「そういうこと言うの、自分がやましいことしてるからだよッ!!」

涙目で叫んで、来た道を走って帰った。



総悟の馬鹿!!

なんで浮気とか言うの?

1ヶ月前ちゃんと私言ったよね?

ずっと好きだよって。

なのに……



呼び鈴の音と総悟の声。

「美砂!」

ドンドン、と玄関を叩く音に溜め息を吐いて鍵を開けた。

開けた途端、総悟のぬくもりに包まれる。

「総悟?」

苦しいくらいに抱き締められて。

謝ってくれた言葉にも驚いてしまう。

「…仕事は終わったの?」

隊服のままの総悟を見上げると。

「見回り中」

と口付けされた。

「ちょっ、総悟、」

「美砂にお返しがあるんですが屯所に置いてきちまった」

項垂れた総悟のお腹が鳴り響いた。

「ご飯作ろっか?」

苦笑してこたつに向かった総悟に微笑み、私はご飯の用意をする。

総悟に聞くと、昼食を食べる時間がなかったらしく。

炒飯とスープを作って持って行った。

総悟の分と私の分。

お茶も用意して横に座る。

こんなものしかできなかったと恐縮したけど、総悟の口から「美味い」と聞こえてほっとした。

食べ終わった後もそわそわと落ち着きのない総悟に首を傾げる。

「総悟?」

「許してくれやすかィ?」

何のことだろうと思い返すと先程の総悟とのやりとりだった。

「さっきも謝ってたじゃない。変な総悟」

「…Sは打たれ弱いんでさァ」

苦笑した総悟の表情が柔らかくなってドキドキする。

今日の総悟はドエスじゃないみたい。

昨日作ったチーズケーキを出して一緒に食す空間もなんだか恥ずかしくなる。

感嘆の声に恥ずかしがっていると、不意に言われた。



「嫁に貰いたいくらいですぜィ」



あまりにもさらりと言われたから聞き逃すところだった。

「え、、」

「いつかの話だ…ってそこ泣くとこか?」

ボロボロと涙が止まらなくなった私を見て口端をあげ、お茶を飲み干す。

「美砂」

腕を掴まれると強引に涙を拭かれた。

右手がスカーフを解き、左手で私の顎をあげさせる。


「……手加減しやせんぜィ」


噛み付くような激しい口付けも余計に私をドキドキさせた。





ドエスな貴方の甘い言葉は凄い威力。

甘くて甘くて逃れられない。

このまま溺れさせてください。



20100312

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