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ヒトリ季節企画
土方十四郎
「面倒な女は嫌いだ」

なんて言ってのけた人。
第一印象から最低な人。

顔がいいだけ。

そう思っていたのに。


何時の間にか、嵌ってた。





身体を重ねるだけの関係。

「面倒」が嫌いな貴方に、合わせる私。

好きとか愛してるとか、そういった甘い関係ではなく。


欲望のままに。


いつものように、家に来た貴方に抱かれた。

荒い息を吐きながら横たわる貴方。

そんな貴方を冷静な目で見る私。

好きとか、愛してるとか、言ったらどうなるのだろう?

とっくの昔に、私は貴方に捕らえられてしまっている。


手を伸ばし、貴方の手を握ると、握り返してきた。

「美砂」

あぁ、名前は覚えているのね。

久しぶりに呼ばれて驚いた。

貴方の欲望に染まった視線が絡みつく。

唇が降ってきた。

キスなんて出会って以来じゃないかしら。


「土方さん」

呼ぶと顔を上げ、私に言葉を促す。

「私は、貴方の嫌いな面倒な女なんです」

「……知ってる」

「え…」

「その面倒な女に惚れちまったんだ」

は?惚れた?

「おまえは」

面倒な男はキライか?


あまりにも、不意打ちな表情に、私は顔が熱くなる。

「美砂」

耳元で呼ばないで…今まで隠していた気持ちが溢れ出るから。

「…好き。大好き」

私の言葉に笑った貴方。

もう一度、唇に触れた。

想いが通ったキス。


「あ…」

「どうした?」

なんでもないです、と言ったものの。

以前とは全く違うキスの味に、微笑む私。

じゃあ…想いの通ったセックスはどうなんだろう?


土方さんの首に手を回して引き寄せる。

「続き、しませんか?」

返事の代わりに、貴方の長い指が私の中に入ってきた。

堪える声。

荒い息遣い。

同じことなのに、何か違って感じる。


お互いが絶頂に達した後。

「そっか」

息を整えながら私が呟くと。

まだ足りない、と言う貴方。


もしかしたら、想いはずっと前から繋がっていたのかもしれない。

以前と同じ、セックスの味。


貴方のぬくもり、貴方の愛撫。

私に注ぎ込まれるすべてが、愛おしい。


今度は私が。

だるい身体を起き上がらせ、私は寝転ぶ貴方に跨る。

「足りないんでしょ?」

そう言って微笑むと、口の端をあげて、笑われた。


何度抱き合っただろう。

合間にキスなんかしたことなかったくせに。

狂ったように私の口腔内を蹂躙する。



「好きじゃねェ男としたくはねェだろ?」

ごもっとも。

同じことを考えていましたよ。

こんなことなら、早く言っちゃえばよかったのにね。


「毎日電話してもいいですか?」

ほら、面倒な女。

「毎晩会いにきてやるよ」

そんなこと、言う人だったんだ。

まだまだ知らないことばかり。


腕枕まで用意してあって。

私を抱えるように腕を回すと、寝息を立て始めた貴方。

見たことがなかった寝顔に、暫らく見惚れ。

「十四郎、さん」

ポツリ、呟く。

ぎゅっと、土方さんの腕に力が篭もった気がした。


20090729

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