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ヒトリ季節企画
土方十四郎
クリスマスなんかに浮かれててもいいのでしょうか?

でも。女隊士である前に、1人の女性として。

クリスマス位は一緒に過ごしたい。





真選組では毎年クリスマスパーティーをしている。

「美砂ちょっと来なせィ」

沖田隊長に呼ばれ、副隊長の私は胡散臭いなと思いながらもついて行く。

渡されたのは、真っ赤な衣装にニーハイソックス…

「…なんでしょう。コレ」

「見て分からないとはね。ただの馬鹿ですかィ」

「分かりますよ!!分かりますけど、何故私に渡すんですか」

そんなこともわからないのか、と沖田隊長が嘆息する。

「恒例のクリスマスパーティーの衣装でィ」

「えーー!!」

「美砂と俺とでサンタクロース」

沖田隊長用の衣装もちゃんとそこにあり、いそいそと着替え始めた隊長に唖然とする。

「何してんでィ?サイズ合わさねェと困るだろィ?」

「え、此処でですか?」

ニヤリと口端をあげた沖田隊長から後退ると誰かにぶつかった。

ちっと沖田隊長の舌打ちが聞こえ、嗅覚が煙草の匂いを感知する。

「土方さんっ」

「おめェら何してんだ?」
見回りはどうした、と説教じみたことを言いそうな土方さんに私は捲くし立てた。

「クリスマスパーティーの衣装合わせらしいんですけど、」

「美砂が此処で着替えるの嫌がるんでさァ」

「当たり前です!!」

「衣装?」

これです、と土方さんに見せると私の腕を掴んで歩き始める。

「ちょっ!何処行くんですか!?」

「俺の部屋」



副長室の襖が開き、中から篭もった煙草の匂いが流れ出てきた。

中に入るように言われ、「お邪魔します」と入った私の後ろで襖が閉まる。

散乱している書類の前に座った土方さんが、銜えていた煙草を灰皿に押し付けた。

「美砂」

「はい」

「それ着てみろよ」

「は?」

「此処なら着替えられるだろ?」

口端を上げた土方さんがオトコマエで。

コクリと頷いた私はジャケットを脱いでスカーフを取った。

じっと見ている土方さんにむっとして、

「あっち向いててください!」

と睨む。

慌てて向こうを向いた土方さんはペラペラと書類を捲っていた。


「できました、けど…」

丈短すぎじゃない!?

私を見た土方さんの目が見開き、右手が口元を覆う。

「どうですか?」

クルリと1周すると、土方さんがぶほっと咽た。

「だ、大丈夫ですか!?」

「パンツ見えた…」

「何見てるんですか!変態!」

恥ずかしくなって座り込んだ私の前まで土方さんがにじり寄ってくる。

「それ着んの却下な」

「え、かわいくないですか?」

潤んだ目でわざと聞いてみる。

「……可愛いけど」

土方さんの口から可愛いって!!

私の方は見てないけど、心なしか頬赤いし。

伸ばされた手が私を包み、耳元で低く囁かれた言葉。


「誰にも見せたくねェんだよ」


その言葉には私も顔が火照ってしまって。

大好きだと実感してしまって。

「へへ」

土方さんの背中に手を回した。

「彼氏の言うこと聞けよ」

「彼氏…」

改めて言われるとなんだか嬉しい

「彼氏さんにお聞きしたいことがあります」

「あ?」

抱き締められたまま、顔を見合わせて私が続けた。

「沖田隊長と2人でサンタクロースなんですが、彼氏と隊長命令はどちらを聞けばいいのでしょうか?」

「決まってんだろ」

ニヤリと笑った土方さんが着ていた衣装のリボンを解き始める。

「な、何、」

「俺の命令だ」

「え、」

組み伏せられた私の目に映るものは土方さんだけで。

近付いてくる端正な顔に思わず息を呑む。

触れただけの口付けをして、土方さんは私を起き上がらせた。

「何か欲しいモンあるか?」

私から離れた土方さんが煙草に火をつけ、紫煙を燻らす。

解かれたリボンを弄りながら、起き上がった私が口端をあげた。


「土方さん」

「あ?」

「欲しいものは、土方さんです」

ゴホゴホッ

咽た土方さんに近付いた私は、指から煙草を抜き取って灰皿に押し付け、土方さんに唇を重ねる。


「クリスマスまで待てないよ」


そう囁くと、腕を引かれて濃厚な口付けが始まった。



20091210

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あきゅろす。
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