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ヒトリ季節企画
坂田銀時
クリスマスにバイトが入っている私にとっては。

イベントは楽しいことじゃないんだけど。

この衣装は一番に見て欲しい。





「見て見てー」

ぶはっ

飲み掛けていたいちご牛乳を吐き出しそうになった銀さんから私が慌てて飛び退いた。

「汚いなぁ」

「ちょっ!美砂ちゃんその格好なに!?」

「見て分からない?」
サンタだけど、とクルリと1周してみる。

「ちょっ!パンツ見えるでしょ!」

「見ないでよ変態」

赤いサンタクロースの衣装。
バイト先で支給された膝上スカート。

一番に銀さんに見せたくて。

「かわいい?」

小首を傾げてわざと聞いてみる。

「……かわいい」

顔赤いですよ、銀さん。

チラチラ見すぎですよ、銀さん。

「こっち」

トントンと銀さんが座っていたソファの隣を指定され、其処に座った。

「えっ」

銀さんの腕が私の背中に回る。

「可愛すぎー……」

「へへ。ありがと」

銀さんのふわふわな髪の毛が美味しそうで、顔を擦り付けた。

「それ来てバイト出んの?やめてくんない?」

「いや無理だから」

「彼氏の言うことくらい聞きなさいって」

頬を両手で挟まれ、目の前の銀さんの目が煌めいている事にドキドキする。

「彼氏…」

彼氏と言う言葉がまだ擽ったいなんて。

「じゃあ、彼氏さんに1つ質問があります」

「どうぞ」

ぷにぷにと私の頬を突きながら銀さんが言葉を促した。

「ケーキ屋さんのバイトしろって言ったの銀さんだよね?」

「そうですけど?」

「これは、バイト先の制服なんです。ケーキ貰えなくなっちゃうよ?」

笑って言う私に銀さんは本気で悩み始める。

「じゃ、じゃあ!銀さんもそこでバイトする!!」

「…え。やめてくんない?」

銀さんの真似をして言い返した。

「いいじゃねェか!」

「彼氏と同じバイト先って嫌だし。それにもうバイト募集してないし」

してやったり顔で銀さんを見遣ると、私のスカートを捲り始める。

「ちょっ!何してんの!?」


「ん?バイト辞めさせんのは諦めっから、ご褒美貰お
うと思って」


盛大に溜め息をつき、スカートに伸びている手を払った。

「ご褒美って何…わけわかんない」

私の言葉に今度は銀さんがニヤリと笑う。


「サンタさんは何かくれんだろ?」


気付いたらぼやけた視界には天井が見えて。

緩く笑った銀さんがカッコよくて。

「…何が欲しいの?」

この体勢で聞いても答えは1つしかなくて。


「美砂ちょうだい」


思った通りの答えに目を閉じた。



触れる唇。

身体を撫でる手。

私にとっては最高のプレゼント。



20091209

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あきゅろす。
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