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ヒトリ季節企画
高杉晋助
困ったことになった。

苦手な客と、二人きり。

あの目が、怖い。






「た、高杉様?」

「なんだ?」

「この手を離してもらえませんか?」


屋形船で働いている私が担当しているこの部屋。

高杉晋助という、妙な着物を纏った男。

なぜか、御膳は二つあるのに、一人しかいなかった。


そして、高杉の手が、私の肩に回されている。

「大層嫌われたもんだな」

くくっと口の端をあげて笑い、箸を置く。

「そんなこと、ありませんけど…」

見抜かれている。

ジットリと私を見る目が、1つは包帯の下に隠れているけど怖い。


肩に回されていた手が痛いくらい食い込み、顔を歪めた私に唇を被せた。

驚く間もなく、蹂躙する舌に息もつけない。

気付いた時には、畳の上に倒され私の上に高杉が乗っかっている。

ハラリと私の帯を簡単に外し、裾を捲り上げられた。

「やめッ!!」

高杉を押すも、全く動かず、代わりに襟元を強引に開かれて噛まれた。

「痛っ…!」

今の状況に涙が滲み出てくるが、高杉に気付かれまいと、私はそっぽを向く。

「美砂」

優しい声音に私は涙が溢れた。

「なんで、こんなこと…」

「欲しいモンは力づくで手に入れるもんだろ?」



犯されている状態なのに、優しい愛撫に声が漏れそうになる。

そこには全く愛なんかないのに。

「強情なヤツだ」

高杉の指と舌が同時に秘部を攻め、あまりにも直接的な感覚に思わず声をあげた。


「…いい声で啼けよ」

私の腋を持って起き上がらせると、自身をあてがい、一気に差し込む。

「やぁーーー…ッ!!」

衝撃の凄さに背中を仰け反らせた私を高杉が抱き締めた。

「動け」

命令され、素直に腰を上げてよがる。

高杉はそんな私を見て口の端をあげた。

「美砂、好きだぜ」

「…嘘吐き」

誰でもよかったのはお見通し。

でも、その場の快楽に溺れてしまった私はそれでもいい。

高杉の首に手を回して唇を重ねた。

「もっと、して」


繋がったまま、私を組み伏せた高杉の律動に気が狂いそうになる。

嬌声が止まらない。

「好きだ」

もう一度、高杉が私に囁く。

「私も、好き…ッ」

今だけは、そういうことにしておこう。

貴方のあの目が、怖くなくなったから。

「あっあっ…もっ…イクッ……!」

「美砂ッ…」

足を引き攣らせて弛緩した私に、満足そうに笑う高杉。

より深く繋がりたくて、私が高杉の首に手を回したら。

「名前、呼べ」

耳元で荒い息遣いと共に低く響く。

「……晋助…様」

ぎゅっと、高杉の腕に力が篭もったように感じた私は、絶頂と共に、意識を手放した。


20090801

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あきゅろす。
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