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リク&HIT御礼企画
願い事<なな様 22500キリリク>【銀時】
たった一つの願い事。
ずっと傍に居させてください。
私の目には貴方しか映らないのです。



【願い事】



水漏れが酷かった部屋の一室に住む私と。

その水漏れを治した銀さん。

それが初めての出逢いでした。



「銀さんお電話です」

「はいよ」

就職難のせいで全く仕事のなかった私を、銀さんは拾ってくれた。

万事屋で働くようになって半年。

お給料はあまり貰えなくても、大好きな銀さんの傍に居られるのならいいやって思う私は末期でしょうか。

水漏れのおかげで、家賃は半額。
家賃分くらいは貯金でどうにかなっているからこうして万事屋に居られるのだけど。


「なぁ、お名前は?は就職しなくていいわけ?」

ジャンプを読みながらソファに寝転んでいる銀さんの横に座る。

「はぁ…探してはいるんですけど」

嘘です。探してないです。

「ずっと此処だと、なぁ…」

小さな呟きも聞こえてしまった。

…迷惑かけてしまってる?

それでなくても神楽ちゃんを養っているのに、私までいるから。

「…そうですね。私も思ってたんです」

「なにが?」

「就職探してきます」

ダッと階段を駆け降りて職業安定所へと走った。


うーーー……


堪えていたのに、涙が溢れる。

方向転換をした私は、走って家に入ると嗚咽が出るくらい泣きまくった。





泣き続けても就職できるわけもなく。
スーツを着て就職活動をする毎日
あの日から、万事屋には顔を出していない。
逢いたい気持ちと迷惑だという気持ちが交互に私を襲う。

そんな時、公園で休んでいたら定春を散歩させている神楽ちゃんに出会った。

「お名前は?久しぶりネ。何してるアルか?
スーツカッコイイ!大人アル」

「神楽ちゃん」

ベンチでうな垂れていた私に酢昆布を差し出した神楽ちゃんにお礼をいい、酢昆布を頬張った。

「就職活動?」

「うん。万事屋にずっと居るわけにいかないしね」

「銀ちゃん寂しそうだったヨ?たまには顔出すヨロシ」

「…うん。アリガト」

銀さんの名前を聞いただけでぎゅっと心臓が締め付けられる。

好きなんだな。こんなにも。

「お名前は?元気ないネ。もう1枚あげるから元気出すネ」

「ありがと、」

「神楽ー!今日は肉だぞーー、」

公園の入口で叫んでいるのは銀髪の人…

「銀ちゃーん!肉持ちたい!!」

肉の入ったビニル袋を神楽ちゃんに渡し、ベンチに座っている私を見下ろす銀さんがまともに見れず、「こんにちは」とだけ小さく呟いた。

「…お名前は?何してんの?スーツ着て」

「就職活動です」

「ホントにしてんだ?」

「はい。いつまでも万事屋に居るわけにもいかないので」

「それで無断欠勤?」

私の横に座った銀さんが足を組んで私を見る。

「あ…すみません…仕事ないから連絡しなくてもいいと思って」

「お名前は?ちゃん可愛い顔してグサっとくること言うね」

もう一度、すみません、とうな垂れた私に銀さんの声が響いた。

「言っとくけど、おまえが万事屋に居るのは迷惑でも何でもねェよ?
勝手に就職活動しないで下さいー」

迷惑じゃないといわれたのは嬉しかったけど、以前言っていることと話が違う気がする。

「…銀さんがずっと此処じゃいけないって言ったんじゃないですか」

顔を上げると銀さんのいつもの死んだ目が少し鋭くなった。

「それで、就職活動始めたんです。ワケが分からないです」

嘆息して時計を見るとすでに17時を回っていた。

鞄を持って立ち上がると銀さんが腕を掴んだ。


「…なんで分かんねェんだよ」


低い声の銀さんがいつもと違って怖くなる。

「は、離してください」

握られた腕が痛くて振るってみてもビクともしない。

「うちの社則にはなァ」

「へ?社則?」

急に話が変わり、戸惑う私の腕を握ったまま話が続けられる。


「従業員に手ェ出すなってあんだよ」


従業員に手を出すな?

「…なんですか、それ」

「昔適当に作った」

「はぁ…」

「それでだな」

立ち上がった銀さんが腕を自分の方に引っ張ったから、私の身体は銀さんの腕の中へと吸い寄せられる。

「ひゃっ」

銀さんの鼓動まで伝わってきそうな程近い距離に、私の口から心臓が飛び出しそうになる。

「俺のところに就職しない?」

「だから万事屋はダメなんでしょ?もうホント意味がわからないです」

「だーかーらー」

ガシッと肩を両手で持たれ、視線を私に合わした銀さんの口から。



「お名前は?に傍に居て欲しいんだよ。
わかったかコノヤロー」



舌打ちと共に告げられた言葉。

ビックリして目が飛び出そうな位見開いて。

同時に嬉しいのと恥ずかしいのとで紅潮した顔を見られたくなくて。

銀さんの胸に飛び込んだ。


「…社則は破っていいんですか?」

「従業員じゃなけりゃ問題ねェ」

「どういう意味、んっ!」

私の唇は銀さんの唇によって塞がれてしまい、それ以上何も言えなくなりました。





「銀さんお電話です」

「はいよ」

テーブルの上に散らかったゴミを拾いながら電話に出る銀さんに視線を向けた。

仕事かな?
仕事だったらいいな。

「お名前は?ー今日は肉だぞー」

電話を置いた銀さんが口端をあげて私を見つめる。

「仕事ですか?よかったです!ご飯の用意して待ってますね」

微笑む私を抱き締めた銀さんが耳元で息を吐いた。

「結婚してよかった!」

「いやしてないし」

「したようなモンでしょ?俺のところに就職したってことは」

「なんですかその永久就職的な話は」

確かに、家を引き払って銀さんと一緒に暮らしているけども。

「釣れないなぁお名前は?は」

「釣れないも何も、んーーっ!」

銀さんの接吻でいつも話は中途半端に終わってしまう。



「行ってきまーす」

玄関まで見送る私に手を上げて出て行く銀さん。

いきなり結婚とか言うから、ビックリしたじゃないですか。

想いが通じただけでこんなにも満たされているんですよ。




一生傍に居てください。
そして、貴方の願い事と私の願い事が同じでありますように...



20091128



22500HIT有難うございます★
キリ番申請していただいたなな様へ捧げます。
「銀時で万事屋を手伝い両思いになるお話」
就活中だし両思い飛び越して求愛してるし…で申し訳ないです(号泣)
ご精読ありがとうございました。


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あきゅろす。
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