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リク&HIT御礼企画
赤い月<風間彩鬼様 16000キリリク>【高杉】*
月の光に照らされた真剣が私に向けられている。

それを握っているのは愛しい人。

こんな時なのに、見惚れていた。



【赤い月】



「晋助」
「なんだ?」
「いつか2人で何処か行きたいね」
何気なく提案した私に隣に座っている晋助が空を見上げて呟いた。

「月」

「月?」

「月が綺麗だ」

そだね、と私は空を見上げる晋助に見惚れた。





その月を背に、晋助が刀を私に向けて嗤っている。

窓が開け放たれた晋助の部屋。

寒い……

一糸纏わぬ姿で手首は後ろで束ねられ、切り刻まれた着物が足元に落ちていた。

「なんで…?晋助…」

私の声にピクリとも反応しない。
くくっと嘲笑し、私の頬に平手を打つ。
不意に涙が零れた。

優しかった晋助をここまで怒らせてしまったのは何故だろう。

「…何か、した?」

後ろ手に縛られているから、涙も拭えず晋助を見上げて問った。

何も言わない晋助。

「好きだよ」

私の言葉にも何も答えない。

その代わり、もう一度平手打ちをされた。


私は何をしてしまったのだろう…

ここまで怒らせたことがわからない。

苛ついた様子で鞘に刀をおさめた晋助が、私の顎を強引に上に向けた。


「舐めろ」


まだ勃ちあがっていない晋助のモノ。

手を伸ばそうにも縛られているから戸惑っていると、口を開かされて奥へとねじ込まれた。

「うっ!」

嘔吐感が私を襲う。

苦しくて舌を動かすことも出来ない私の口内を犯すように腰を打ち付ける。

酷い。

なんでここまでされるの…?

止め処なく涙が溢れた。


晋助の足が私の肩を押す。

口から離れ、バランスが取れなかった私はその場に寝転ぶ。

「え、」

晋助が私の足を開かせ体重が圧し掛かってきた。

「…嫌…っ!」

勃ちあがった晋助のモノが宛がわれると、恐怖心で身体が震え始めた。

「やめ、て……」

慣らされていない状態にも関わらず、晋助が奥へと進める。

捻じ込まれた異物を追い出そうとしているのか、私の腰が引けてくる。

その腰を掴んで一気に貫かれた。

「痛いっ!やだっっ…!!」

液体が伝う感覚。

結合部に手を添えた晋助の指には血が付き、くくっと笑った晋助がその指を舐める。

ゾクリ

「おいおい締めてんじゃねェぞ」

「…あっ…!」

小刻みに挿し出しをし始めた晋助に思わず声が漏れた。

隻眼が汚物を見るような目で私を見据え、頬を殴る。

「ううっ……」

口の中に血の味が広がり、私は怖くて悲しくて、あの目から逃れたくて目を閉じた。

全然気持ちよくない行為。

相手が晋助だというだけで。

愛情も何もない、空っぽの晋助に抱かれても嬉しくもなんともない

殴られた頬も手首も感覚がなくなってきている。

絶望感に大きく溜め息を吐いた。



…それも気に食わなかったのだろう。

苛つくように舌打ちをした晋助が私の首に手を掛けた。

頚動脈を圧迫され、意識が朦朧とする。

息が止まりそうな感覚。

手足が痺れてきた…


このまま死ぬのかな…

晋助に殺されるのかな……


それならそれでいい。

晋助に囚われてからは最期はそんな気がしていた。

でも。

一目でいい。

優しい晋助の顔を見たかったな…

薄っすらと目を開けた私が見たもの。


晋助の背後で輝く、赤い月。






「…お名前は?!お名前は?!
しっかりするッス!」

「ん…」

重い目蓋を開けるとまた子さんが心配そうな表情で覗き込んでいた

「また、子さん…?」

声を発した私に安堵の息を吐いてコップを渡す。

「水ッス」

「…ありがとう」

ゆっくり身体を起こすも身体中が痛くてうまく起きれず、支えられてやっと起き上がった。

束ねられていた手首も自由になったが、縄の痕がどす黒く変色している。


夢じゃなかったんだ。


乾いた喉に水が染み渡る。

ほう、と息を吐き、自分がちゃんと着物を着ていることをまた子さんに問うた。

「晋助様ッス」

「え?」

「それより、今日約束したじゃないッスか。
手品教えてくれるって」

「あ…そうだったね。ごめん」

「皆待ってるッスよ」

晋助に酷い目にあわされて正直そんな気分にもなれなかったけど、また子さんがあまりにも気を使ってくれるから行くことにした。

「顔、これで冷やすッス」

冷たいおしぼりを手渡し、また子さんは私の背中に手を添える。

「晋助様はお名前は?が全てなんスよ。
許してあげて欲しいッス」

許すも何も、私が晋助に何かしたからこんな目に合ったわけで。

その"何か"がわからない……




また子さんに支えてもらい、広間へ向かう。

浪士数人とまた子さんに、以前手品を見せてから、こうして講習のようなものをするようになったのだ。

「…蓋を閉めます。はい、こっちは空です」

「えーーー!今のもう1回!」

前と同じ手品なのに、未だわからない人たち…

「じゃあ、ゆっくりするよ?」

「「お願いします」」

「ここをこうして、こう……」


そういえば。

「人数少なくない?」

私の言葉にまた子さんが耳打ちをする。

「この前来た浪士2人、晋助様が斬ったらしくて…」

「何かしたの?」

「それはわからないッスが。あ!わかったッス!ここをこうッスか!?」

頷くとまた子さんは嬉しそうな顔をして浪士たちに教えに行った。




「いや〜、凄かったな。お名前は?さん。
閉めてんのになんで…」

講習後、部屋に戻ろうとした私とまた子さんの前を歩いている先程の浪士たちが興奮気味に話している。

恥ずかしいなぁ。

大した手品じゃないんだけど。

「うわっ!」

「どうしたッスか!?」

浪士の緊迫した声にまた子さんが駆け寄った。

「晋助様!?」

晋助?

ふらふらと近づくと、晋助が抜刀して今にも浪士を切ろうとしている。

「…てめェらもか」

刀を構えた晋助の前に慌てて立ちはだかった。

「退け」

冷たい目に背筋が凍る。

退かない私に刀を向けた。

「ちょっ!晋助様!」

また子さんが慌てて私の腕を引こうとする。

「まとめて斬られてェのか?あ?」

被害がどんどん拡大しそうになるけど、何をこんなに怒ってるのだろう。



「怒っている理由を教えて」

それからでも遅くないでしょう、殺すのは、と私が呟くと晋助は刀を下ろした。

「…来い」

心配そうな浪士やまた子さんに微笑みを返し、晋助の後を付いて行った。




先程の惨状もそのままの晋助の部屋に充満する血の臭い。

思い出してしまう…容赦ない、晋助を。

腕を強く引かれ、窓際に押し付けられる。

背中を打った衝撃に一瞬息が止まる。


「何人に抱かれた?
あいつらもか?」

何を言い出したのだろう?

目の前の晋助の目が恐ろしく冷たいことが本気だと物語っている。

「言ってる意味がわからない」

はっと笑い、また手が首へと食い込んだ。

「俺が知らないとでも思ったか?聞いてんだよ。
おめェが凄いとか締めてきたとか」

凄い?閉める?
って、さっきの浪士たちの会話……

首を圧迫する腕を握り、息も絶え絶えに呟いた。

「ちが、うよ…
それは、手品……」

私の言葉に晋助の手が緩む。

ゴホゴホと咳き込んでしゃがみ込んだ私の髪の毛を掴んで上を向かせる。

「嘘吐くな」

「ホント、だよ。晋助以外に、
抱かれたりしない」

キッと晋助の目を見て答えた。





誤解は解けた。

高杉晋助が謝ってくれるわけもなく、鏡に映る酷く腫れた顔と首についている指の痕に大きく溜め息を吐く。

容赦ない晋助を目の当たりにしても、嫌いになることなんてできない。

逃げたらどうなるかなんて簡単な話で。

それでも。

私は貴方の傍に居たい。




「晋助」
「なんだ?」
「月、綺麗だね」
私の言葉に空を見上げた晋助が、小さく微笑む。

「何処に行きたい?」

「…晋助となら、何処でもいい」

覚えてくれていた約束が嬉しくて。
私も空を見上げる。

「あの時、月が赤かったの」

あの時。
晋助に首を絞められた時……

「憎まれているのか愛されているのかわからないけど…
私が必要なくなったら」

晋助を見ると、此方を黙って見ていた。


「その時は、殺して」


貴方と離れるくらいなら。

それが本望。

晋助は、くっくっと喉を鳴らして笑い、私の顎に手をやった。

「一思いに殺してやらァ」

一瞬、月が赤く輝いた気がした。



20091023



16000HIT有難うございます★
キリ番申請していただいた風間彩鬼様へ捧げます。
「高杉さん。鬼畜系の裏夢」
鬼畜って何…鬼畜って書けるの?
と自問自答しましたが、私が書く鬼畜はこれが限界でした(;つД`)
ご精読ありがとうございました。


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