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BL短編小説
3-1※R18
「た……だいま……」
 完全防備の防寒の琥珀が、冷気を纏って玄関を開けた。
「お帰り。風呂沸いてるからすぐに温まってこいよ」
 三十分くらいして、漸く生き返ったような表情をした琥珀が風呂から出てくる。
 近場とは言え、真冬の屋外を歩くのは、琥珀にとっては相当辛いはずだが、この冬は冬眠をしていない。
 二人で考えた結果、冬眠明けの繁殖期の絶倫な琥珀では、俺の体がもたない。それならば、繁殖期のコンディションに欠かせない冬眠をやめたらどうだろうか? と言う案に至り、来春に向けて試行中なのだ。
 冬の今、琥珀はアルバイト以外の外出は滅多にしない。当然外食は一切していない。簡単な料理も出来るようになったので、平日の暇な時は夕飯の支度もしてくれる。


「おーい、夕飯出来たぞ」
 風呂で温まってきたものの、今日の冷え込みは相当キツかったようで、琥珀はベッドに転がってしまった。
「ん……食べる……」
 琥珀はモソモソと体を起こすと、するりと俺の首に腕を巻き付け軽いキスをした。


 食事中、俺の視線は琥珀の目や首や手から離す事が出来なかった。
「信之、どうした?」 琥珀から訝しげな視線を送られて、慌て目を引き剥がす。
「い、いや、なんでも……ない」
 ああ、マズイ。絶対顔が赤い。
「ふーん……ごちそうさま」
 琥珀は立ち上がって、自分の食器と俺の食器を片付ける。
 耳は琥珀の動きを追っているのに、今度は琥珀を見る事が出来ない。
「信之」
 片付け終わって戻ってきた琥珀が、俺の耳元に息を吹き掛けた。
「うひっ」
 飛び上がった俺を軽々と抱き上げる。
「あっ、ちょっと……琥珀っ」
「ごめんな、信之」
 ベッドに降ろした俺の服を手際良く剥いでいく。
 俺がわたわたしている間に、琥珀は自分の服もさっさと脱いでベッドに潜り込む。ちなみに、未だにあのままのシングルベッドだ。
「あ……あぁ……」
 素肌を合わせると一気に体が熱くなり、呼吸も上がってくる。
「琥珀……」
 望んだ通りの深いキスが与えられた。
「んぅ……ん……」
 熱い吐息が漏れ、いきり立つ股間を琥珀に押し付ける。
「……ごめんな」
 さっきの謝罪はこの意味だったのか。琥珀の体には変化はない。
「抱きたい気持ちはあるんだけどな……その代わり、気持ち良くするから」
 夏から秋に掛けて小出しにしてきた琥珀の性欲は、俺の体力でもなんとか受け止められるレベルに落ち着いた。だけど、それも本格的な寒さの到来と共に、ぱったりと音沙汰がなくなった。
 それまで何度も琥珀に抱かれて慣らされた体は、こうして時折どうしようもなく疼く。
 琥珀は仰向けにした俺にのし掛かり、俺の胸の尖りに舌を這わす。
「ん……んう……」
 俺の頬を撫でていた琥珀の右手は、俺の舌先を愛撫し始めた。
 顔を上げた琥珀の瞳が、俺を見据えて煌めく。
「あ……あぁっ……」
 それだけで、上擦った声が堪えられなくなる。
「信之……凄くイイ顔してる……」
 うっとりと囁いた琥珀が、その体を下へとずらしていく。
 足を開かせ、すっかり濡れきった俺のモノを器用な舌先でなぶるが、相変わらず琥珀の性器は表に出てこない。
「琥珀……あ……あっ」
 後孔に指がぬるりと侵入してくる。
 節の目立つ太い指が中を蹂躙して、すぐにその本数が増やされた。
 琥珀が俺のモノをくわえてしゃぶる音と、その後ろで動かされる指の立てる滑った音が俺の耳すらも犯す。
「あっ……あっ、琥珀っ、もっ……」 俺の限界を察知した琥珀が一際きつく舌を絡め、それに引かれるように熱を解放した。


「なんか、俺ばっかりしてもらって……ごめん」
 呼吸の落ち着いた俺を、琥珀が布団の中で抱き締めてくる。
「そんな事ない。俺もイイ思いしてる」
 ニヤリと笑う琥珀の体は、相変わらず少しひんやりしている。
 でも、俺にとっては、それがなんだか暖かい。
 その温もりに誘われるように、琥珀の腕の中で眠りに落ちた。


    END.
2014.12.21 完結
      ロン 著

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