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BL短編小説
2-2※R18
 平熱に戻ったものの、冬眠明けで本調子でないからなのか、もしくは夜行性の習性だろう。ベッドの上で琥珀はうとうとしている。
 昼食を終えた後、特にやる事がなくなった俺は、床に座ってベッドに寄りかかり、適当なテレビ番組をつけた。


 夕方になり、ふと気付くと、琥珀が目を開いて体を小さく震わせていた。
「琥珀? どうした? 具合悪いのか?」
 顔を覗き込むと、異様な光を帯びた目に見返される。
「信之……俺、俺……」
「わぁっ……」
 琥珀は俺の体をベッドに引き摺り込むと、手足を使って力一杯俺を抱き締めた。
「う……い、つ……」
 呻き声すらもろくに出せない。
「あ……ごめん」
 俺の状況に気付いた琥珀は、少し手足を緩めるが、依然抱き締めたままだし、体の震えも止まない。
「信之……交尾したい」
「はあ!?」
 思いもしなかった琥珀の言葉に、俺の声がひっくり返る。
「ま、まさか俺と?」
 間近にある琥珀の頭が縦に揺れる。
「待て、待て! 俺もお前も男だ。いや、雄か。いや、あの、だから、ショップに連絡して雌を探してもらうから、ちょっと待て」
 もがいて琥珀の体を引き剥がそうとしても、その手足は頑として緩まない。
「嫌だ。雌なんかいらない。俺は信之と交尾したいんだ」
 琥珀の瞳が俺を射抜く。
「信之と一緒にごはんを食べた時から決めてた。信之と交尾をする、って」
「な……なん、で?」
「信之はちゃんと俺を見てくれた。ちゃんと俺に触ってくれた。そんな相手は初めてだったんだ」
 真剣な眼差しに反論出来なくなる。
「信之も俺を好きなんじゃないか? 寝る時、俺がぴったりくっついても嫌だって言わなかったし、よく眠れてた。それに俺が冬眠する時、本当に寂しそうだった」
 確かにその通りだ。
 誰かに触れて欲しくて合コンなんて出たけど、琥珀じゃないから嫌になったんだ。琥珀が冬眠から目覚めて久し振りに添い寝した時、漸く飢えが満たされた気がした。
 でも、これは恋愛感情なのか? 家族愛のようなものじゃないのか?
 俺が悩んでいる間に、琥珀がもぞりと動いて俺の頬を両手で挟んで持ち上げたかと思ったら、顔が近付いてきた。
「うひっ!」
 琥珀の器用な舌が、俺の首をねろりと舐めた。次いで、顎先やら鎖骨やら、首周辺をあちこち舐めだす。
「ちょっ……ま、待てって」
 これはヤバい。何がヤバいって、蛇である琥珀の舌は器用な動きで俺を翻弄して、思考力を奪っていくからだ。
「待てない」
 琥珀は俺の「待った」をバッサリぶった切る。
「わ、わかった。まずはお試しだ」
「まずはおためし?」
 琥珀が首を傾げる。
「一回、取り敢えず一回だけやってみる。んで、また出来るか、もう二度とやりたくないかを判断する。これでどうだ?」
「……うん……」
 頷く琥珀の瞳が底光りする。
 やっぱり、この時の俺は既に思考力がどっかに行っていたんだ。蛇の交尾がどんなものか、完全に忘れて甘く見ていた。


 琥珀は俺を組敷くと、あっと言う間に服を剥いで全裸にした。モタモタと服を脱ぎ着していた最初の頃の手際の悪さなんてどこにも無い。
 それから、全身を隈無く舐め回された。表を舐め尽くしたら、いとも簡単に俺をひっくり返して項からふくらはぎまで。
「もっ……ちょっ、琥珀、しつこいって……んっ」
「だって、触るとスゲー気持ち良い。信之の体」
 はぁっ、と琥珀はうっとり熱い溜め息を吐いて、俺の体を舐め回す。
「そっ……あぁっ、もうっ、琥珀の肌も手触り良いんだから、俺にも触らせろっ」
 もう完全に流されている俺。
 琥珀は一瞬きょとんとしたが、自分が服を着たままなのに気付いて、慌て脱ぎ捨てる。俺はその隙に仰向けに戻って、被さってきた琥珀を抱き締めた。
 頬ずりしてくる琥珀の背中を両手で撫でる。鱗の時とは感触は違うけど、手触りが良いのは相変わらずだ。
 こうして触れ合っているだけで、俺の中心はしっかり張りつめてしまっている。と、言う事は……やっぱり俺も琥珀をそう言う意味で好きなんだろうか。
 当然俺の体の変化に琥珀も気付いている訳で、足で俺の両膝を割って中心に手を伸ばしてくる。
 だけど、取り立ててしっかり触れる訳ではなく、確認する程度の触り方で、琥珀手はその周りをあちこち撫で回す。
 やっぱりそう来るか! 俺の後ろの孔を探し当てた琥珀が指先を侵入させてくる。
「いっ、痛いって。濡らさないと無理だって」
 昔、友達との下ネタトークで、後ろを使ったセックスの話を聞いた事がある。ローションを使うとか、なんとか。でも、そんな物うちには無い。
 どうしようかと考えている間に、琥珀の体が下へ下がって行った。
「うやっ! ちょっと! 汚いって、んあっ」
 琥珀は躊躇無くそこに舌を這わせて、その上中にまで舌先を侵入させてきた。
「ふっ……んくっ……んっ」
 琥珀は舌と指の両方を使って孔を柔らかくしている。俺はもう、ただ、ただ違和感を堪えるしかなくて、小さく声を漏らしていた。
 しかし、こんなのを我慢しちゃうなんて、やっぱり俺……
 もう充分と踏んだのか、琥珀が身を起こす。
 いよいよか、と思えば、そりゃ見るでしょ。相手のそこを。特に琥珀は普段体内に収納しているから、初めて確認する訳で……
「ぃえっっ! 二本!?」
 忘れてた。蛇って二本あるんだよね。雌の方の孔もふたつあるけど。でも、俺の孔はひとつっきり!
「や! ちょっと待て待て待て! まさか二本入れる気じゃないだろな!?」
「片方しか入れないぞ」
 琥珀は、心外だと言わんばかりに方眉を上げる。
 ホッとしたのも束の間、両膝を抱えられてあらぬ姿勢にされ、そこに琥珀のモノが宛がわれる。
 ググッと圧力を感じるけど、そう簡単に入るモノじゃない。さっき見たアレは、琥珀の体格通り、長さはそれ程じゃないけどかなり太かった。
 無理なんじゃないか、と頭を過った時、上体を屈めた琥珀がいきなり俺の鳩尾に舌を這わした。
「ひわっ!」
 おかしな悲鳴が上がった瞬間、ずりゅっ、と琥珀の太い先端が俺の中に滑り込んだ。
 声なんか出やしない。
 涙を浮かべて呼吸を荒げる俺の様子を窺いながら、琥珀はジリジリ侵入してくる。
 どれくらい経っただろうか? ゆっくり体を進めていた琥珀の腰が、俺にぴったりくっついている。
「信之……凄く、イイ……」
 琥珀はうっとり囁いて、俺の頬や髪を撫でて肩や鎖骨を舐める。
「信之って綺麗だよな。俺と違って髪は真っ直ぐでサラサラだし、肌は白い。……くくっ、今は色が変わってるけど、これも綺麗だ」
 喉奥で小さく笑って、今まで見た事もないような色気のある微笑を浮かべる。
 駄目だ。ハマった。そんな琥珀を、誰にも見せたくない。
 シーツを握り締めていた手を琥珀に向けると、琥珀は肩を差し出してくれる。
「キスぐらいしろよ。馬鹿野郎……」
 首に手を掛けて引き寄せると、体勢が変わって苦しさが増したけど、構わずに琥珀の唇を塞いだ。
 反応が薄い琥珀を不審に思って顔を離すと、キョトンとした顔がそこにはあった。
 そうだった。キスなんて知らないんだ。
「もうっ……」


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