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BL短編小説
5※R18
 その光景に驚いていると洋一が指を抜いた。膝立ちになって勢い良くTシャツを脱ぐと、次いで下も全て一気に脱いでしまった。
 正直、目の遣り場に困る。だって目の前に在る洋一の体は……俺の想像を越えている……
「大地……」
 俺の名を呼びながら、洋一が先程と同じように俺の片足を抱える。
 緊張もピークに達してしまっている俺は、思わず息を詰めた。
「大地……」
 耳元で囁かれたと思ったら、唇を塞がれた。
「ん……んう…………うー、うー!」
 息が苦しくなってきて首を振ると、割りとあっさり唇はほどかれた。
 息を弾ませていると、後ろに熱くて硬い物が押し当てられる。
「あっ……はっ……」
 息を整える間も無く、その熱い物が俺の体に押し入って来た。ゆっくりだけど、止まらずに進んで来る。
「あっ、あぁっ……くぅっ……」
 俺は今まで経験した事の無い圧迫感に喘いだ。
 怖くなって逃げそうになった腰が、洋一の腕でガッチリ押さえられる。洋一が更に腰を押し付けて来た。
「ーーっ!」
 声無き呻き声が溢れる。最後は圧迫感に加えて痛みも走った。
 ぎゅっと瞑った両目からぼろぼろ涙が流れる。
「大地……大地……」
 うわ言のように呟きながら、洋一が俺の瞼に唇を何度も押し付けて来る。声を出す余裕の無かった俺は、目を閉じたまま首を縦に振って応えた。
 それを合図にしたかのように、洋一がゆるゆると動き出す。俺は唇を噛み締めて、ただひたすら圧迫感と痛みを耐えた。
 段々スムーズに動けるようになってきたのか、洋一が抽挿する動きが速く大きくなってきた。
「んやっ……またっ……あっ……あっ……」
 洋一の硬くなった物が、先程指で散々刺激された場所を擦り出した。例えようの無い感覚が背筋を何度も走り抜ける。噛み締めていた唇は自然にほどけて、洋一の動きに合わせて喘ぎを溢していた。
「大地……大地……」
 洋一は息を荒げながら、俺の名前を呼び続けている。
 痛みは依然として続いているものの、それを覆い隠すようにあの感覚が体を満たし始めた。
「あっ……あぁっ……ふぁ……」
 何故だか体が震え出した。
 洋一の手が下の方へ伸びて、俺のペニスを扱き出した。
「あぁあーーっ! んーー!」
 頭が真っ白になる程の衝撃に思わず声が迸る。洋一がすぐに唇を合わせてきて、声はくぐもったものになった。
「んーー! んーー!」
 洋一の腰がグッと押し付けられ、動きが止まった。洋一は俺の中でビクビクと動いているし、俺の体も痙攣するように震えが止まらない。
「よ……洋一……」
 今までシーツを握り締めていて固まった指を何とかほどいて、震えながら洋一へと腕を伸ばした。
 俺の意図をすぐに理解した洋一は、俺の腕を自分の背中に回して俺をしっかり抱き締めてくれた。
 二人の胸がぴったり合わさって、その間でうるさいくらいに心臓が騒いでいる。それが段々治まってきて、俺のものなのか洋一のものなのか、ゆっくり鼓動するようになった頃、体の奥底からじわじわと喜びが沸き上がってきた。
 ――洋一に抱かれた。洋一とひとつになれた――
 昨日まで考えもしなかった事だけど、今ならわかる。凄く欲しかったものを貰えたんだ。
 嬉しさの余り、へにゃへにゃと顔に締まりが無くなる。
 俺の顔に気付いた洋一がニカッ、と笑った。俺の大好きな洋一の笑顔。
「やっと笑ったな……」
 嬉しそうに、額に、瞼に、鼻先に、頬に啄むようなキスが降って来る。それから、唇に……少し他より長めのキスをされた。


 俺に密着していた体を離して洋一が身を起こした。
「んっ……」
 洋一が俺から出て行く時に痛みが走り、思わず声が洩れた。
「う、わ……だ、大地! ゴメン!」
 洋一が「どうしよ、どうしよ」と、物凄く慌ている。
「え? 何? どうしたの……」
 訳のわかっていない俺の肩を支えて、洋一が起こしてくれる。
「う、わ……」
 俺も洋一と同じ声を上げてしまった。
 体を起こして初めて目に入った俺の下半身は、洋一の吐き出した物と血が混ざり合って薄ら赤く染まっていた。道理で後ろの孔辺りがずきずき痛んだ訳だ。
 洋一は自分の体と俺の体をティッシュでザッと拭って慌て服を着込む。
「あ、そうだ! ……切り傷にも効くな」
 洋一は先程足に塗った軟膏の注意書きを読んで、「ゴメンな、痛いだろうけど薬塗るからガマンな」と、後ろの孔に出来てしまった傷に塗り込んでくれた。
「ちょっと待ってろよ」
 バタバタと騒々しく家の中を走り回り、蒸しタオルを持って来た。
 俺の体を綺麗に拭き上げて、パジャマを着せてくれる。俺をベッドから降ろしてその縁に寄り掛からせ、汚してしまったシーツを剥がし、またもやバタバタと走り回っている。 二十分くらいして、洋一は汗をかいて戻って来た。
「と、とりあえず、洗濯機で洗ってる……シミにはならないと思うけど……うああ、おばさんにバレたら、どうしよ……」
「多分大丈夫だよ。それより洋一、お腹空かないの? もうとっくに昼過ぎだよ」
 俺が意識を切り替えようと話題を振ると、洋一は即座に反応してきた。
「あー……言われると腹減ってきた」
 俺の横に座り込んだ洋一はお腹を押さえる。
「何か有ると思う。台所行ってみよう?」
 立ち上がると、ずきずきした痛みが振り返す。思わずしかめた顔に気が付いた洋一が、俺を抱き上げた。
「ほんと、ゴメン……」
「え? いいって……ドア通りにくいでしょう?」
「いーから。足だってまだあんなんじゃんか。ほら、少しかがめ」
 洋一は俺を縦抱きにしたまま、膝を曲げてドアを潜った。
 俺を食卓の椅子に降ろして、洋一は冷蔵庫を開けた。勝手知ったる他人の家。幼い頃俺達はよく互いの家を行き来して食事までしていたから、洋一は俺の家の冷蔵庫を覗く事に躊躇いは無い。
「お。お粥がある。大地、食うか?」
 俺が「うん」と答えると、洋一はラップのかかったどんぶりを電子レンジにかけて、今度は冷凍庫を開ける。
「んー……これ貰うな」
 洋一は冷凍食品のピラフを出した。
 洋一が温まったお粥とピラフを食卓に運んで来て、二人向かい合わせで食事をする。昔に戻ったようで凄く嬉しかった。
 食べ終わると、洋一は再び俺を抱き上げてリビングのソファーに座らせる。
「洗い物するからちょっと待ってろ」
 洋一は使った食器を洗い、冷蔵庫に張り付けられたホワイトボードに食べた物を書き込んだ。
「あのホワイトボード昔っから変わんねえな」
 ソファーの俺の隣に座った洋一がニカッと笑う。壊れれば新しい物に替えてきたが、ホワイトボードの使い方は幼い頃のまま。本当に小学生の頃に戻ったみたいで、俺もへにゃりと笑った。
 洋一の顔がスッと近付いてきたと思ったら、唇を塞がれていた。心の準備をしていなかったから、洋一のいいように翻弄されてしまう。
 俺の息が上がってきた頃、洋一は漸く唇をほどいた。
「お前は変わったよなぁ……」
 昔に戻ったみたいだと思っていたのは俺だけだったみたいだ。俺の頬を撫でながら洋一がニイッと笑う。そんな洋一の仕草に、頭の天辺まで一気に血が昇る感じがした。顔が熱くなるのを止められない。
「そ……そんなに変わった?」


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あきゅろす。
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