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BL短編小説
4※R18
 昼近くになった頃、俺の部屋のドアがノックされた。母さんは夕方まで帰らない筈なのに、と首を捻りつつ返事をした。
「はーい」
 恐る恐るドアを開けて入って来たのは洋一だった。
「よう。……熱、少しは下がったのか?」
 決まりが悪そうに顔を背けながらも、視線だけはチラチラとこちらに投げる。そんな洋一の様子が可笑しくて、頬が思わず緩んだ。
「うん。まだ微熱有るけど、宿題進めたいから」
「なっ!? 微熱ったって、まだ熱有るんだろ? まだ寝とけ!」
 俺の返事に洋一は一気に顔を赤くして叱ってきた。
「え? でも……」
 渋る俺に痺れを切らしたのか、洋一はツカツカと俺の側までやって来ると、椅子の背を掴んでグリンと椅子を回転させた。
「あいっ……」
 予想外の動きで足裏がカーペットに擦れて、痛みが脳天まで突き抜けた。
 洋一は怪訝な顔で、思わずしかめ面になった俺の頭から爪先までを確かめた。
「おい! どうしたんだよ、これ」
 俺の足裏が赤く腫れているのを認めて、洋一は足首をガッチリ掴んで問い質してきた。
「ごめんなさいっ」
 洋一の余りに険しい声と表情に、俺は身を竦めて反射的に謝ってしまった。ついでに目もぎゅっと瞑ってしまう。
「あぁあ……違うんだ。大地に怒ってるワケじゃないんだ」
 洋一の焦った声が聞こえて恐る恐る目を開くと、俺の前に膝をついた洋一の顔からは既に険しさが消え、俺を気遣う色が浮かんでいた。
「もう大丈夫だよ。大分良くなったんだ」
 洋一を安心させようと思って言ったけど、かえって洋一は眉間に皺を寄せてしまう。
「これで大分良くなった? じゃあ、最初はどんだけヒドかったんだ……ま……さ、か……終業式の日、どうやって帰ったんだ?」
「……裸足で歩いて帰った」
 渋々口にすると、驚愕に目を見開いた洋一が絶句していた。
 何か言おうと開かれた口が一旦閉じられる。また開いても、やっぱり閉じられる。俺の見詰める先の洋一は、暫く口の開閉を繰り返してから、漸く言葉を発した。
「ゴメン。俺が靴隠したせいだな……ちょっと待ってろ」
 洋一は俺の膝に額を押し当てて謝ってきたかと思うと、立ち上がって部屋を飛び出した。


 三十分くらいして再び部屋にやって来た洋一の手には、ドラッグストアの袋が提げられていた。
「ほら、足出せ」
 言われるままに片足を洋一に差し出す。洋一がドラッグストアの袋から出した軟膏を俺の足に丁寧に塗っていく。
 洋一がやたら丁寧に塗っていくから、片足が塗り終わる頃には、俺の貧弱な筋肉はぷるぷる震え出した。
「あ、わり。足疲れるな」
 言うなり、洋一はガバリと俺を抱き上げて椅子からベッドに移動させてくれた。
 でも、これって……所謂お姫様抱っこ……
 真っ赤になった俺に気付く事無く、洋一はまた丁寧に反対の足に軟膏を塗っていく。
 軟膏を塗り終えたら『お仕舞い』かと思っていたけど、洋一は袋から冷却シートと包帯を出した。
「え? もう冷やさなくて良いよ」
 足を引っ込めながら言うと洋一は顔を上げた。
「ん。そっ……か……」
 洋一の目付きが変わった。
 まるで獲物に狙いを定めた肉食獣のようだ。その視線に縫い止められたみたいに、俺は動けなくなった。
 ギシリとベッドが軋み、二人分の重みに沈んだ。
「……ん……ふぁ……あ……む、ん……」
 思う存分口内を貪られ、それだけで意識が朦朧としてきた。
「そんな顔、他のヤツに見せんなよ」
「そんな顔?」
 洋一の言っている事が良くわからない。
「ったく、どこでこんな色気を覚えたんだか……」
「そんな……そんな、色気なんて無い」
 渋い顔の洋一に首を振って否定した。
「自覚ナシかよ。始末悪ぃ」
 乱暴に唇を塞がれる。喰われそうな勢いだ。
 ――本当に、喰われる――
 肩を押さえられ、気が付けば、仰向けに転がされた俺の上に洋一がのし掛かっていた。
 パジャマのボタンがひとつ、ふたつ、と外され、洋一の唇が喉元に押し当てられる。
 パジャマのボタンが全て外されてしまうと、洋一の唇は乳首に押し当てられた。薄く開かれた口から零れた歯が乳首にかじりついた。
「うひっ」
 変な声を洩らした俺に向けられた洋一の目は、今までに見た事の無い光を宿していた。
 怖いと思うと同時に、その瞳に恍惚としてしまう自分も確かにいた。
 洋一は暫く乳首を指先で摘まんだり舌で転がしたりしていたけど、俺の反応の薄さに焦れたのか、遂にはパジャマのズボンごと俺のトランクスを取り去ってしまった。
「えっ? ……ひぁっ……あっ……」
 躊躇う事無く、洋一は俺のペニスを掌で包み込んで刺激し始める。キスのせいで緩く芯の通っていたそこはあっと言う間に形を変えてしまった。
「あっ……はっ、あぁ……よ、ういち……」
 洋一は乱れていく俺をジッと観察している。
 俺のペニスが自ら溢した滴で濡れそぼった頃、洋一の顔が俺の股間へと降りて行った。
「やっ! だっ、駄目ぇっ! 三日前から風呂入ってないからっ」
 初めて味わう快感で思考を覆っていたもやが、羞恥の余り一気に晴れてしまう。
「やっ、嫌っ。お願いだから」
 洋一の頭を両手で掴んでなんとか上げさせると、憮然とした表情の洋一が俺の口に二本の指を突っ込んできた。
「よく濡らせ」
 目を白黒させながらも、懸命に洋一の指に舌を絡めた。
 頃合いを見て俺の口から抜かれた指が視界から消えた。
 洋一は空いた手で俺の足を抱えて開き、唾液で濡らされた指が俺の後ろの孔を探っていく。朧気に予測はついていたけど、自分では見た事の無い場所を洋一の指が撫でている。
 暫く蠢いていた指が、クッと孔の中に侵入して来た。
「んっ……」
 初めて味わう感覚に思わず声が洩れる。視線を上げると、ギラついた目で俺を見詰める洋一と目が合った。
 ぞくり、と背筋が震える。
「う……く……」
 根元まで沈められた洋一の指がゆっくり出し入れされる。さほど痛みは無いものの、異物感に息が上がる。
 一本の指の出し入れがスムーズになったのを見計らって、二本目の指が侵入して来た。流石に少し痛みが走った。
 それも何とか耐えていると、三本目の指が押し入って来た。
「いっ……あ……」
 声が溢れても洋一は手を止めない。三本の指を出し入れしながら、孔の内壁をしきりに刺激してくる。
「んあぁっ……やっ、何っ……」
 突然、体の内側を奇妙な感覚が走った。
 痛みを堪えるために瞑っていた目を開けると、一瞬手を止めた洋一がニヤリと笑っていた。
「ちょ、ちょっと待っ……あぁあっ!」
 俺が制止の言葉を言い終わる前に、洋一の指が同じ所を激しく刺激し出した。
「やっ……んんっ……洋一っ、や、止めっ……あぁっ」
 俺の口から溢れる声は、今まで聞いた事もないような高く掠れたものだった。
 いつの間にか、出し入れされる洋一の指がぬちゃぬちゃと、粘着質な音を立てている。霞む目を何とか向けて見ると、俺のペニスは信じられない程ぐっしょり濡れて、がちがちに勃ち上がっていた。


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あきゅろす。
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