どうしてこうなった
お喋りな関係
こうして、俺と明彦は兄弟のような幼馴染から、同居人から、恋人から、そしてまた兄弟のような幼馴染に戻った。
いや、幼馴染ではなく同居人に戻ったのかもしれない。
ただ、その今までは二人しか居なかった二人の輪に、一人新しい人間が加わった。
元、俺の恋人の浮気相手、そして今やそいつが明彦の恋人。
絶世の美少年、幹夫。
驚いた事に、彼は明彦の先輩で、俺の1つ下。
現在高校3年生だった。
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「ふーん、中々うまくつくるもんだね。アッキー、肉じゃがおかわり」
「そうかい、そりゃよかった」
幹夫は俺の家に居座りはしなかったが、毎日俺の家へ来た。
何をするためか。
そりゃあ、ナニをするためだ。
お陰で毎晩毎晩飽きるほど抱かれまくっていた俺は用済みとばかりに明彦からはほったらかされ、今では寝室は二人のお城と化している。
その為、俺は毎晩ソファで眠る。
まぁ、ソファはこだわって高いやつを奮発したから寝心地は意外といい。
薄い壁の向こうから聞こえてくる幹夫の嬌声と、ガタガタと言う物音も、今では子守唄だ。
俺は人間の順応性の高さを身をもって経験した気がした。
そして、ヤった後、必ず半日は爆睡する明彦のお陰で、俺はこうして飯をせびりにくる幹夫と朝を共にすることが多くなった。
意外に俺の飯が気に入ったのか、最初は死ぬほど聞かされていた「出ていけ」と言う言葉も、今ではあまり耳にしなくなった。
うん、ほんと助かった。
俺が肉じゃがをよそいながら、よかったなぁと心底思っていると、それを見ていた幹夫が何やら俺を小馬鹿にしたような目で見てきた。
「思うんだけどさー、あっきーはどう見ても明彦にとっちゃ金づるじゃん?俺からすればかなりアッキーのポジってバカっぽいんだけど、それでいいわけ?」
金づるって……確かにそうかもしれないが……
相変わらずコイツは歯に衣着せない奴だな。
まぁ、夜の嬌声同様、この辛らつさにももう慣れたけどな。
「いいも悪いも……明彦と俺は昔からこんなだ」
「はぁ。それって自慢?明彦と長く居たんだっつー自慢?ムカつくんだけど」
「何でこんなのが自慢になんだよ」
「調子に乗んなよ。明彦に聞いたらアッキーと付き合ってたのは別にアッキーが好きだったわけじゃなくて、ただ相手が居なくて欲求不満だったからって言ってたんだからな。別に明彦は好きでアッキーに付き合ってたわけじゃないんだよ!」
「だから、わかってるって。どう見たって明彦は幹夫に夢中だよ」
「あったりまえだろう!?俺は明彦と愛し合ってんだからな!」
「わかった、わかった」
「バカにしてんじゃねぇ!?」
いつの間にこうなった。
俺は、いつの間にか明彦と居る時間より、この幹夫と過ごす時間の方がかなり長くなってきた。
ほんと、人間関係ってわかんないな。
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